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科学目標2:宇宙の構造形成、銀河形成・進化の物理過程の理解

宇宙の構造形成・銀河形成と進化

現在の宇宙には、性質・スケールともに多種多様な天体・構造が存在します。
なかでも「銀河」は宇宙のもっとも基本的な構成要素といってもよいでしょう。私たち自身も、銀河系(天の川銀河)とよばれる銀河の中に住んでいます。これらの銀河はいつ、どこで生まれ、その後どのような進化(成長)を辿ってきたのでしょうか。銀河の歴史は古く、宇宙が誕生して5億年以内(今から 130 億年以上前)には最初の銀河が生まれていたと考えられています。宇宙は膨張しているため、遠方宇宙(すなわち過去の宇宙)からやってくる光は波長が伸びて地球に届きます。初期宇宙の探査で鍵を握るのが、赤外線での観測です。
2020年代のすばる望遠鏡は、2010年代にほとんど探査が進まなかった、ビッグバンから5億年以内の初期宇宙を赤外線で観測し、銀河誕生の謎に迫ります。さらに可視光での観測とあわせて銀河誕生と成長のドラマ、そして銀河活動の終焉を司る物理過程を解明する、言うなれば「銀河のゆりかごから墓場まで」を明らかにします。

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ULTIMATE-Subaru、PFS、HSCを組み合わせた宇宙探査。ULTIMATE-ULTIMATE-Subaru、PFS、HSC を組み合わせた宇宙探査。ULTIMATE-Subaru を用いて、宇宙誕生後5億年以内の銀河幼年期、銀河の成長期(宇宙誕生後 20 ~ 40 億年)を探査して、銀河の形成と形態獲得の歴史を明らかにします。HSC、PFS を駆使して成長期から成熟期に至る銀河探査を行い、さらに ULTIMATE-Subaru で近傍銀河の広視野高解像観測を行って、銀河の成熟過程を解明します。

観測対象

130 億年以上前から現在の宇宙

すばる望遠鏡での達成目標

(1)銀河誕生期:ビッグバンから5億年以内の宇宙を、ULTIMATE-Subaru を用いて赤外線で広域探査し、初代銀河の候補を検出、さらにその特徴に迫ります。また、10億年ほど経った宇宙をHSCとPFSで詳細に探査し、初期宇宙の大規模構造や銀河の性質を未だかつてない統計精度で明らかにします。

(2)銀河成長期:宇宙の星形成活動が最も盛んだったと考えられる、ビッグバンから 20 〜 40 億年後の宇宙の銀河を ULTIMATE-Subaru を用いて高解像度撮像し、現在の銀河が持つ形態(渦巻・楕円など)が獲得された歴史を紐解きます。さらに、銀河形態と密接に関係があると思われる銀河内外のガスの様子をPFSが明らかにします。

(3)銀河成熟期:ビッグバンから 40 〜 70 億年後の宇宙に存在する多数の銀河を PFS で大規模に分光観測し、個々の銀河の性質を様々な角度から詳細に分析することで、宇宙の構造形成史と銀河の進化史の関係を明らかにします。さらにULTIMATE-Subaruで近傍宇宙の銀河を高解像度撮像することで、銀河を個々の星々や星団、星形成領域にまで分解し、その形成過程をミクロな視点で明らかにします。

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