すばる望遠鏡について

観測所長

あいさつ

ハワイ観測所長 吉田 道利

photo: ハワイ観測所長 吉田 道利

人は星を見て、時に限りない郷愁の思いに駆られることがあります。私たち人類は、この宇宙に生きており、この宇宙が私たちを生みました。このことは、紛れもない事実であり、星を眺めるとき、私たちは無意識のうちにこのことに思いを馳せるのかもしれません。

すばる望遠鏡は、1999年にファーストライトを迎え、2000年より共同利用を開始しました。すばる望遠鏡には、高精度に磨かれた主鏡、それを支える261本の能動支持アクチュエーター、気流を制御し陽炎を吹き払う円筒型ドームなど、天体の高解像度観測を可能とするための様々な工夫が凝らされています。さらに、その堅牢な架台構造によって、主焦点に観測装置を装着できる機能を実現しています。主焦点は視野が広く取れるという特徴を持ちます。これらの工夫により、すばる望遠鏡は他の大型望遠鏡と比較して圧倒的に広視野、かつ高解像度の観測を行うことができます。現在、主力観測装置として活躍中の超広視野主焦点カメラ (Hyper Suprime-Cam; HSC) は、まさにこうしたすばる望遠鏡の特長を活かした装置であり、その圧倒的な撮像能力を活かして、宇宙論、銀河の形成・進化から太陽系内天体探査に至るまで、幅広い研究分野で活躍しています。HSC による成果をさらに発展させるため、2400個の天体を同時に分光観測できる、主焦点超広視野分光器 (Prime Focus Spectrograph; PFS) が現在開発中であり、近い将来、すばる望遠鏡の主焦点で稼働する予定です。一方、すばる望遠鏡の高解像度観測性能を極限まで活かして、補償光学を活用した観測装置群も活躍中で、系外惑星や星・惑星形成過程の研究に威力を発揮しています。

人が星を見るときに感じる憧れ。天文学者たちはそれを突き詰めて、科学の目で宇宙の謎を解明しようと日夜奮闘しています。国立天文台ハワイ観測所はそうした天文学者たちの奮闘に応えるべく、すばる望遠鏡を維持整備し、新たな観測装置の開発を行い、世界第一線の光学赤外線天文台として、これからもより一層の活躍を目指します。