観測成果

太陽系内

すばる望遠鏡、「はやぶさ2」拡張ミッションの目標天体の撮影に成功

2020年12月17日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2020年12月17日

小惑星探査機「はやぶさ2」の拡張ミッションの目標天体である微小小惑星「1998 KY26」を、2020年12月10日 (ハワイ現地時) にすばる望遠鏡が撮影しました。観測で得られた「1998 KY26」の位置測定データは、この天体の軌道要素の精度を向上させるために活用されます。

すばる望遠鏡、「はやぶさ2」拡張ミッションの目標天体の撮影に成功 図

図1:すばる望遠鏡に搭載した超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」で捉えた小惑星「1998 KY26」(画像中央、2本の線が交わる位置にある点光源)。「1998 KY26」の動きに合わせて追尾しながら観測を行なったため、背景の星の像は流れて写っています。2020年12月10日 2:04~2:16 (ハワイ現地時) に撮影した2分間露出の画像を5枚重ねて処理。画像の画角は 30 秒角 × 15 秒角。(クレジット:国立天文台)

JAXA 宇宙科学研究所が運用する小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星「リュウグウ ((162173) Ryugu)」で採取したサンプルを格納したカプセルを、12月6日 (日本標準時) に地球に帰還させました。「はやぶさ2」はその後、残った燃料を活用する拡張ミッションのために地球を再出発しました。拡張ミッションでは目標天体である小惑星「1998 KY26」に接近して観測を行うことが計画されています。

小惑星「1998 KY26」は2020年12月中旬から下旬にかけて地球に 0.47 天文単位まで近づき、およそ3年半に1度という観測の好機を迎えています。しかしながら「1998 KY26」の直径は推定でおよそ 30 メートルと小さく、とても暗いため、大望遠鏡を使わなければ地球からの観測はとても困難です。

今回のすばる望遠鏡による「1998 KY26」の観測は、JAXA 宇宙科学研究所からの依頼に基づいて行われました。その結果、「1998 KY26」はふたご座の方向に 25.4 等級 (測定誤差 0.7 等級) の光の点として撮影されました。観測で得られた位置測定データは、「1998 KY26」の軌道要素 (軌道を表わす数字) の精度を向上させるために活用されます。同様の観測は、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡 VLT でも行われました。

JAXA 宇宙科学研究所「はやぶさ2」ミッションマネージャの吉川真 (よしかわ まこと) さんは、「『はやぶさ2』は、再突入カプセルを地球に届けた後、新たな天体を目指して旅立ちました。目的地は『1998 KY26』という小さな小惑星です。これほど小さい小惑星はまだ探査されたことがないため、惑星科学的にも、またプラネタリーディフェンス (天体の地球衝突問題) の上でもたいへん注目されています。今回のすばる望遠鏡での観測は、『はやぶさ2』の拡張ミッションにとって非常に貴重なデータになっただけでなく、今後のミッションの弾みともなりました。すばる望遠鏡の皆様に感謝いたします」とコメントしています。

すばる望遠鏡を運用する国立天文台ハワイ観測所の吉田道利 (よしだ みちとし) 所長は、「今回、すばる望遠鏡で、『はやぶさ2』の次なる目標天体の姿を捉えることに成功しました。このデータが、『はやぶさ2』の新たなミッションのお役に立てれば幸いです」とコメントしています。


この観測成果は、国際天文学連合の小惑星センター (Minor Planet Center) が発行する『小惑星電子回報 (Minor Planet Electronic Circular)』に2020年12月15日付で掲載されました (MPEC 2020-X181 : 1998 KY26)。

すばる望遠鏡、「はやぶさ2」拡張ミッションの目標天体の撮影に成功 図2

図2:撮影した5枚のうち3枚の画像によるアニメーション。画像中央付近で右方向に動く点光源 (2本の線が交わる位置) が「1998 KY26」。画像の画角は 30 秒角 × 15 秒角。(クレジット:国立天文台)



撮影した画像に関する情報

観測装置:超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)
撮影日時:2020年12月10日 2:04~2:16 頃 (ハワイ現地時)
露出時間:2分間 × 5枚 (非恒星追尾)
天球上の位置:ふたご座
推定等級:25.4 等 (測定誤差 0.7 等) (r バンド)

■関連タグ