ハワイ現地時間2015年5月20日の早朝、小惑星探査機「はやぶさ2」が向かう小惑星 (162173) 1999 JU3 の姿を、すばる望遠鏡が撮影しました (図1)。(162173) 1999 JU3 は1999年に発見された地球近傍小惑星で、大きさは1キロメートル弱と見られています。2014年12月に打ち上げられた宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ2」の行き先の小惑星としても知られています。

図1: すばる望遠鏡が撮影した小惑星 (162173) 1999 JU3。ハワイ現地時間2015年5月20日午前4時21分〜24分頃、超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam で1分ごとに連続3回撮影した画像の GIF アニメーション (各30秒露出、視野1分角×1分角)。小惑星は太陽の周りを回っているため、背景の恒星に対して動いて見えます。(クレジット:国立天文台)
観測当時、(162173) 1999 JU3 は地球からおよそ2億4000万キロメートル (1.61 天文単位) の距離にいました。明るさは 22.3 等程度でしたが、集光力に優れるすばる望遠鏡はわずか30秒の露出時間で姿を写し出すことに成功したのです。
観測を行ったハワイ観測所の寺居剛さんは「観測時は明け方のうえ雲が多く、条件はあまり良くなかったのですが、1999 JU3 が放つ微かな光をはっきり捉えることができました。この小惑星はどのような素顔を我々に見せてくれるのでしょうか?そしてそれはどのような太陽系の歴史を教えてくれるのでしょうか?はやぶさ2の探査を心待ちにしています」と語っています。