トピックス・お知らせ

トピックス

すばる望遠鏡の巨大データ公開 ― 15 億天体を収録した HSCLA 最新版

2026年5月11日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2026年5月11日

すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (HSC;ハイパー・シュプリーム・カム) の大規模科学アーカイブから新たなデータが公開されました。

すばる望遠鏡の巨大データ公開 ― 15 億天体を収録した HSCLA 最新版
図

図1:HSC で撮影されたペガサス座矮小銀河。銀河の一つ一つの星がはっきりと分解されて見えています。画像全体に刷毛で掃いたような雲がかかっているのは、天の川銀河の中のガスです。矮小銀河を透かして遠くの渦巻銀河や楕円銀河が見えているのが印象的な一枚です。(クレジット:国立天文台)

HSC は、8億 7000 万画素の高性能カメラです。一度の観測で、満月9個分に相当する広さの空を撮影できます。すばる望遠鏡では毎月、新月に近い約 10 晩が HSC 観測に割り当てられ、一般共同利用観測に活用されています。 共同利用観測で得られたデータは、各観測者が責任を持って整約(観測データを整理・補正し、研究に使える形に整える作業)を行い、研究成果へとつなげます。しかし、こうしたデータには、当初の研究目的以外にも、未解決の問題や新たな発見への手がかりとして利用できる可能性があります。そこでハワイ観測所は、公開されている共同利用観測の生データを統一的に整約し、誰もが利用できる形で世界に向けて公開する Hyper Suprime-Cam Legacy Archive(HSCLA)を 2021年に立ち上げました。HSCLA では大規模な画像データに加え、画像に写る天体の明るさ、色、大きさ、形などの測定結果も公開しています。

HSCLA は 2021年に最初のリリースを行い、HSC の共同利用観測が始まった 2014年のデータを公開しました。続いて 2022年には、2015年と 2016年のデータを追加。そして今回、新たに 2020年までのデータを加え、大幅に充実したアーカイブとして公開されました。

現在のデータ総量は約1ペタバイト。空全体の約 19 パーセントにあたる約 7400 平方度の領域でおよそ 15 億個の天体を測定しています。これは日本国内で構築された最大級の天文データアーカイブです。この膨大なデータを活用できるよう、画像ビューワーやカタログ検索など、研究を支援するさまざまなツールも提供されています。

データ整約を担当した原沢寿美子(元ハワイ観測所特任専門員)は「本アーカイブが多様な天文学研究の基盤となり、新たな発見や国際的な共同研究の促進に貢献することを期待しています」と HSCLA が広く研究に活用されることを願っています。

すばる望遠鏡の巨大データ公開 ― 15 億天体を収録した HSCLA 最新版
図2

図2:HSC で撮影されたかみのけ座銀河団。近傍宇宙の銀河団の中で最も巨大なものとして知られています。たくさんの銀河がひしめき合い、形が崩れた銀河や非常に淡く広がった銀河が数多く見られます。(クレジット:国立天文台)

■関連タグ