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大規模撮像探査プロジェクト LSST が始動 ― 日本の研究者・技術者が活躍

2026年6月30日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2026年7月1日

ベラ・C・ルービン天文台は、今後 10 年間にわたって南天の空を繰り返し観測する世界最大級の撮像探査プロジェクト「LSST(Legacy Survey of Space and Time)」の本格運用を開始しました。その舞台裏では、すばる望遠鏡で培われた技術と経験を生かし、日本の研究者・技術者がシステム開発や運用を支えています。現在、80 名以上の日本の研究者が LSST の観測データを利用した研究に参加しています。今後は LSST による広域探査とすばる望遠鏡による精密観測が連携し、宇宙の根本的な謎の解明を進めます。

大規模撮像探査プロジェクト LSST が始動 ― 日本の研究者・技術者が活躍 図

図1:LSST カメラで取得された、おおかみ座方向の空。天の川銀河の無数の恒星の間には、星間ガスや星間塵からなる淡い雲状の構造が広がっています。その背景には、天の川銀河のはるか彼方にある数多くの銀河も見えています。高解像度画像はこちら。(クレジット;NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA)

昨年の「ファーストルック(初観測)」を経て、NSF-DOE ベラ・C・ルービン天文台(以下、ルービン天文台)はシステムの検証・調整段階を終え、いよいよ 10 年間にわたる本格的な全天観測(LSST)の段階に移行しました。LSST は、宇宙の時間変化を継続的に観測し、銀河や星、太陽系天体の変化を詳細に記録することで、ダークマターやダークエネルギーの正体、宇宙の進化の歴史、突発天体の観測を通じたマルチメッセンジャー天文学など、宇宙に残された数々の謎の解明を目指します。

国立天文台、東京大学、千葉大学、名古屋大学などの日本の研究者・技術者は、LSST の観測や研究を支えるため、さまざまな形で貢献しています。


  • すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)プロジェクトで培われた技術を生かし、現地チリに駐在する研究者が LSST カメラの安定運用のための調整や性能確認(コミッショニング)に深く関わっています。また、膨大な観測データの確認に欠かせない可視化ソフトウェアの開発を日本の技術者が主導しています。さらに、HSC の観測データは、LSST の運用を円滑に開始するための検証用データセットとしても重要な役割を果たしました。

  • HSC プロジェクトで培われた、大量の観測データを効率よく処理・管理する技術は、LSST でも生かされています。また、日本の研究者は大規模な計算を支えるコンピューター環境の提供や技術的支援によって、LSST の膨大なデータを世界中の研究者が活用できる仕組みを支えています。

  • 現在、80 名を超える日本の研究者が LSST のデータアクセス権を獲得しており、世界最先端の研究成果の創出に取り組んでいます。

ルービン天文台とすばる望遠鏡は、それぞれ異なる強みを持っています。両者を組み合わせることで、次世代の天文学を支える新たな観測戦略が実現します。

その代表的な例が、超新星爆発や中性子星・ブラックホールの合体など、宇宙で突発的に起こる現象の追跡観測です。ルービン天文台が広い空を繰り返し観測することでこうした現象をいち早く発見し、その情報をもとに、すばる望遠鏡の超広視野多天体分光器「オーノヒウラ PFS」が対象天体を詳しく観測します。このように、ルービン天文台による広域探査と、すばる望遠鏡による精密な分光観測を連携させる「相補的な観測戦略」は、国際的な研究協力のなかで重要な役割を担います。日米を含む国際協力体制のもと、宇宙の起源と進化の謎に迫る新たな挑戦が始まっています。

現地で働く内海洋輔博士(国立天文台先端技術センター准教授、ルービン天文台にカメラ運用担当者として出向中)は「これまでチーム一丸となりたくさんの難しい問題を乗り越えてきました。ついに運用にこぎつけることができてほっとしています。LSST で新しい世界が見えてくるのが楽しみです」と話します。

大規模撮像探査プロジェクト LSST が始動 ― 日本の研究者・技術者が活躍 図2

図2:LSST が1週間で観測する空の範囲の一例。各円は LSST カメラの視野を示し、色の違いは観測に使用するフィルター(u、g、r、i、z、y)を表しています。ルービン天文台は、6つのフィルターを用いて空を繰り返し観測することで、宇宙を多彩な「色」の情報と共に記録していきます。高解像度画像はこちら。(クレジット;NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA)

ベラ・C・ルービン天文台は、米国国立科学財団(NSF)および米国エネルギー省(DOE)の支援により、チリのパチョン山頂にて運用される次世代の宇宙観測拠点です。世界最大のデジタルカメラを用い、宇宙の動的な変化を継続的に記録する LSST(Legacy Survey of Space and Time)を実施しています。

すばる望遠鏡は自然科学研究機構国立天文台が運用する大型光学赤外線望遠鏡で、文部科学省・大規模学術フロンティア促進事業の支援を受けています。すばる望遠鏡が設置されているマウナケアは、貴重な自然環境であるとともにハワイの文化・歴史において大切な場所であり、私たちはマウナケアから宇宙を探究する機会を得られていることに深く感謝します。

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