2026年2月、国立天文台ハワイ観測所で「すばる観測体験企画」が開催されました。本企画は、国内の大学に所属する学部学生を対象とした、すばる望遠鏡来訪教育プログラムです。これまで多くの学生が参加し、その中には現在、天文分野の研究者や技術者として活躍している人も少なくありません。2020年のコロナ禍以降中断していましたが、7年ぶりに復活し、多数の応募者の中から選ばれた6名の熱意ある学生が、すばる望遠鏡を訪れました。
本企画は、すばる望遠鏡を用いた観測研究に関心をもつ学生に、ハワイの現地施設で観測の現場を体感してもらうことを目的とした教育プログラムです。2002年度からコロナ禍以前まで継続的に開催され、多くの学生の進路選択にも役立ってきました。将来、すばる望遠鏡を用いて研究を行う研究者の育成を目指し、教科書だけでは学ぶことが難しい観測の現場や観測研究の流れを紹介する取り組みとして位置づけられています。
今回の実習は、コロナ禍による中断を経て7年ぶりの開催となりました。久しぶりの開催にもかかわらず、日本全国から多数の応募があり、その中から選ばれた6名の学部学生がハワイを訪れました。
実習では、ハワイ観測所山麓施設でのオリエンテーションやリモート観測見学、山頂施設の見学などが予定どおり実施されました。学生たちは、ハワイ観測所スタッフの案内のもと、すばる望遠鏡の運用を支える施設や観測の現場に触れ、最先端の観測研究がどのように行われているのかを学びました。
現地では、学生たちがスタッフの説明に耳を傾けながら、真剣にメモを取ったり、次々に質問を投げかけたりする姿が印象的でした。観測の見学では、取得されたばかりのデータが映し出されたモニターを熱心に見つめ、最先端の研究がまさにその場で進んでいく様子に強く引き込まれていました。今回が初めての海外渡航という学生もおり、羽田空港に集合した当初は緊張した面持ちも見られましたが、実習を通して次第に打ち解け、学生同士で会話を弾ませる場面も多く見られました。参加者からは、「次は自分の観測で再びこの地を訪れたい」といった頼もしい声も聞かれました。
今回の実習を担当した小山佑世准教授(国立天文台ハワイ観測所)は、「運用開始から 25 年が経過したすばる望遠鏡が、いまなお日本の若者をこれほど強く惹きつけていることに驚くとともに、自分自身が初めてハワイを訪れたときのことを思い出し、初心に立ち返る思いでした。観測所の理解を得て7年ぶりに開催に踏み切りましたが、どのくらい応募があるのか不安もありました。実際には想像を超える多数の応募があり、本企画への関心の高さを改めて実感しました」と話しています。
このような実践的な学びの機会は、次世代の研究者育成にとってきわめて重要であるとハワイ観測所は考えています。近年では、リモート観測や、観測所スタッフが研究者に代わって観測を行う運用形態の普及により、研究者が現地を訪れずに観測を行うことが可能となっており、また山頂施設の無人化に向けた取り組みも進んでいます。こうした変化の中で、実際の観測現場を体感できる機会の価値は、むしろ一層高まっていると言えるでしょう。ハワイ観測所では、今年度以降もこの企画を継続していく予定です(注1)。観測天文学の現場への強い興味を持った学生の皆さんの来訪を、楽しみにしています。
(注1)今年度の観測体験企画については、秋ごろに募集を行い、2027年2月から3月頃に実施する予定です。時期が確定次第、すばる望遠鏡ホームページや SNS 等を通じてお知らせいたします。





