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プラネタリウム 100 周年×すばる望遠鏡 25 周年記念 全国一斉オンライン講演会

2025年3月10日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2025年3月16日

ハワイ観測所は 2024年度にすばる望遠鏡の初観測(ファーストライト)から 25 周年を記念する複数の事業を実施しています。2024年は、近代プラネタリウム誕生(1923~1925)から 100 年を記念する「プラネタリウム 100 周年」記念事業期間であり、同事業を日本プラネタリウム協議会(JPA)が推進しています。そこで JPA と共同して、ハワイ観測所山麓施設のあるハワイ島ヒロと、日本のプラネタリウムなど 25 施設を繋いだ全国一斉オンライン記念講演会を、2024年10月19日(日本時間)に開催し、合計約 1900 人が参加しました。

講演会が始まった10月19日午後2時は、ハワイの 10月18日午後7時にあたります。ハワイでは日没後で空は暗くなり、西の空には長い尾をひいた紫金山・アトラス彗星が見えていました。そこで、すばる望遠鏡施設に設置した、ほぼリアルタイムの「すばる望遠鏡全天カメラ」の画像や、「すばる-朝日 星空ライブカメラ(西向き臨時カメラ)」の映像を使い、マウナケア上空に現れた彗星の姿を日本の施設にお届けしました。

プラネタリウム 100 周年×すばる望遠鏡 25 周年記念 全国一斉オンライン講演会
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図1:名古屋市科学館のプラネタリウムに投影された、すばる望遠鏡全天カメラのほぼリアルタイム全天周画像。すばる望遠鏡の右側に、天の川と紫金山・アトラス彗星が見えています。(クレジット:名古屋市科学館)

ハワイ観測所山麓施設からは、宮﨑聡 ハワイ観測所長が「すばる望遠鏡のこれから」と題した記念講演を行いました。1999年1月のファーストライトから、すばる望遠鏡が明らかにしてきた宇宙像、超広視野主焦点カメラ ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)の開発、そしてすばる望遠鏡の今後について、盛りだくさんの内容が語られました。その内容を受けて、ライブ配信終了後の質疑応答タイム(非公開映像)では、全国各地の参加者からたくさんの鋭い質問が寄せられ、宮﨑所長が「いい質問ですね、今日は答えにくい素晴らしい質問が多いですね」と言いながら回答しました。

プラネタリウム 100 周年×すばる望遠鏡 25 周年記念 全国一斉オンライン講演会
図2

図2:すばる望遠鏡 25 周年記念講演を行う宮﨑聡所長。(クレジット:国立天文台、JPA)

今回のライブ配信では、すばる望遠鏡の 25 周年を全国各地の皆さんとお祝いするとともに、同時刻のマウナケアの星空を全天周プラネタウムに投影する試みに挑戦しました。記念講演の前後に、すばる望遠鏡全天カメラのほぼリアルタイムの画像をドームに投影(会議室を使用した施設では、平面スクリーンに投影)したところ、「全天画像やライブカメラで彗星の映像が出ると、『おぉ…』と小さく息をつく方が大勢いた」(ディスカバリーパーク焼津天文科学館)という参加施設が複数ありました。「来場者の方から『専門家から直接お話が聞けて良かった』『他のプラネタリウムと同じ時間を共有している感じが良かった』『ハワイの全天画像がとてもきれいだった』など嬉しいお声をたくさんいただいた」(茨木市文化・子育て複合施設 おにクル)という感想もよせられ、この試みは大成功だったと言えるでしょう。

プラネタリウム 100 周年×すばる望遠鏡 25 周年記念 全国一斉オンライン講演会
図3

図3:全国一斉講演会でライブ配信された、マウナケア上空の紫金山・アトラス彗星。右上は司会の井上毅さん(明石市立天文科学館)。一斉講演会の後も、すばる望遠鏡に縁のある研究者による個別の「コラボ講演会」が 2025年3月まで複数の施設で行われました。(クレジット:国立天文台、朝日新聞社、JPA)

名古屋市科学館がハワイ観測所と協力して作成した、ほぼリアルタイムのすばる望遠鏡全天カメラ画像は、名古屋市科学館のサイトで公開されています。画像は約1分ごとに自動更新され、過去の画像もご覧になれます。プラネタリウムに投影しやすいフォーマットで公開されていますので、今後さらに多くの施設で活用されることを期待しています。ハワイ観測所ではこれからも国内の施設と連携し、すばる望遠鏡の最新の科学成果やマウナケアの画像・映像を全国の皆様にお届けできるように努めてまいります。

全国一斉オンライン講演会では、ハワイ島ヒロのすばる望遠鏡山麓施設と、全国 25 施設を繋ぎました:なよろ市立天文台(北海道)、つくばエキスポセンター(茨城県)、さいたま市宇宙劇場(埼玉県)、ギャラクシティ まるちたいけんドーム、コスモプラネタリウム渋谷、港区立みなと科学館、国立天文台三鷹キャンパス すばる棟(以上、東京都)、平塚市博物館(神奈川県)、山梨県立科学館(山梨県)、ディスカバリーパーク焼津天文科学館(静岡県)、富山市科学博物館(富山県)、名古屋市科学館(愛知県)、サイエンスヒルズこまつ ひととものづくり科学館(石川県)、三重県立みえこどもの城(三重県)、茨木市文化・子育て複合施設 おにクル、すばるホール、ソフィア・堺(堺市教育文化センター)、大阪市立科学館(以上、大阪府)、明石市立天文科学館、伊丹市立こども文化科学館(以上、兵庫県)、島根県立三瓶自然館サヒメル(島根県)、倉敷科学センター(岡山県)、スペース LABO(北九州市科学館)、福岡市科学館(以上、福岡県)、佐世保市少年科学館(長崎県)。


ハワイ島・マウナケア山頂域のすばる望遠鏡全天カメラ映像の公開システム(名古屋市科学館)は、JSPS 科研費 JP24K07096(代表:毛利勝廣)の助成を受けたものです。

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