紫金山・アトラス彗星の姿をマウナケアから世界へ発信

今年10月中旬、夕空に現れた紫金山・アトラス彗星の姿をご覧になった方も多いでしょう。世界中の天文ファンがその素晴らしい姿に魅了されました。ハワイ観測所は西の空を見渡すためのカメラを臨時ですばる望遠鏡の施設に取り付けて特別ライブ配信を行いました。今回は、その様子を振り返ってみたいと思います。

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図１：特別ライブ配信用のカメラがマウナケアの夕空に捉えた紫金山・アトラス彗星。2024年10月13日（ハワイ時）の姿（クレジット：国立天文台＆朝日新聞社）

すばる望遠鏡のあるハワイ・マウナケアからは、まず 9月下旬の東の空に彗星が見えてくると予報されていました。東の空は、国立天文台と朝日新聞の共同プロジェクト「マウナケア星空ライブカメラ」が見ている空の方角です。その予想通り、9月22日早朝（ハワイ時）にその姿が朝焼けの中に初めて捉えられました。

この日は朝焼けの光にかき消されそうな弱々しい姿でしたが、一日ごとにその姿はみるみる成長し、近日点通過前後にはカメラの視野の半分を占める様な、まっすぐ伸びる雄大な尾を視聴者に見せてくれました（まとめ動画１～４）。

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図２：９月下旬から 10月上旬、東の空に現れた紫金山・アトラス彗星の日々の変化。視聴者の「私めめ」さん提供。（クレジット：国立天文台＆朝日新聞社）

彗星はその後太陽の近くを通過し、１０月１１日には西側の空に姿を現すと予報されていました。そこで国立天文台と朝日新聞は、世紀の大彗星の姿を届けるため、西側に臨時のカメラを設置し、10月11日に特別ライブ配信を開始しました。

そして当日の日没後まもなく、まだ明るい夕焼けの空の中にかき消されそうな彗星の姿が視聴者らによって見いだされました（まとめ動画５）。その翌日、10月12日には、さらに高度を上げた彗星が夕焼け後の空に見事な姿を見せ、多くの人々を感動させました。

10月13日以降、彗星の高度が上がるにつれて彗星の姿はいよいよ素晴らしいものとなりました（まとめ動画６～10)。マウナケア山頂域からの夕焼けの美しさと共に、多くの方と世紀の大彗星の姿を楽しむことができました。

ハワイでは 10月17日が満月で、その日はさすがの大彗星でもやや厳しいものとなりましたが、翌18日、満月を過ぎて彗星が月の出る前に見えるようになると、再びその本来の美しさを取り戻しました（まとめ動画 11）。

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図３：10月中旬、西の空に現れた紫金山・アトラス彗星の日々の変化の様子。視聴者の「私めめ」さん提供。（クレジット：国立天文台＆朝日新聞社）

10月18日（日本時間10月19日）には日本国内にある各地のプラネタリウム施設とハワイ観測所を繋いで行う、「プラネタリウム 100 周年」×「すばる望遠鏡 25 周年」記念全国一斉講演会があり、そこでもこのライブカメラからの彗星の姿がリアルタイムで中継され、イベントに華を添えていました。

結果的にのべ 10 日に渡る長期臨時ライブとなった 10 月の特別配信では、雄大な彗星の姿を世界中の多くの方と共有できました。総視聴数は 12 万ビューを超え、日本以外からの視聴が７割を超えるという国際的な配信イベントになりました。

彗星は太陽系の果てからやってくる、地球と生命の起源についてのメッセンジャーです。今回の彗星の姿を見て感動した子ども達が宇宙の魅力に目覚め、いつの日か天文学を志してハワイへ観測に訪れてくれる事を願っています。また、ハワイの文化的、歴史的、自然史的に重要な意味を持つマウナケアから、この美しい夜空の現象を世界に公開する機会を与えられたことについて、心から感謝します。

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​​紫金山・アトラス彗星の姿を​​マウナケア​​から世界へ発信​

2024年12月10日 (ハワイ現地時間)最終更新日：2025年1月29日

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2024年12月10日 (ハワイ現地時間)
最終更新日：2025年1月29日