紫金山・アトラス(ツーチンシャン・アトラス)彗星(C/2023 A3)が日没後の西の空で、肉眼でも見えるくらい明るくなりました。その姿をマウナケア山頂域でハワイ観測所の職員が写真に収めました。
撮影したのは、2024年10月9日トピックスと同じく、ハワイ観測所(すばる望遠鏡)サポートアストロノマーのベラ・マリア・パッセガー(Vera Maria Passegger)さん。10月13 日(ハワイ時)の夕方、すばる望遠鏡の上で長い尾をひく彗星を撮影しました。
「彗星はとても明るく、長く広く広がった尾が見えています。アンチテイルもはっきり見えています」とパッセガーさんは語ります。彗星の尾は基本的に太陽とは反対方向へ伸びますが、見かけ上、太陽の方向へ伸びているように見えることがあります。これをアンチテイルとよびます。彗星の表面から放出されたチリ(ダスト)が、曲線状のダストの尾を作りますが、彗星と太陽と地球の位置関係によっては、大きく曲がったダストの尾の一部が地球から見て太陽の方向に伸びているように見えることがあるのです。
紫金山・アトラス彗星は、10月中は肉眼で見える可能性がありますが、この後彗星自体が太陽からも地球からも遠ざかることで下旬になると夕方の空でやや高くなり、暗くなっていくでしょう。

図1:2024年10月13日、日没後にマウナケア山頂域で撮影した、紫金山・アトラス彗星。望遠鏡は左から順に、すばる望遠鏡、ケックI, II 望遠鏡、NASA 赤外線望遠鏡施設(IRTF)。左下にジェイムズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMT)とSMA(The Submillimeter Array)も見えています。(Canon EOS 600D, 30mm, f/4.6, 300s, ISO 400)(クレジット:Dr. Vera Maria Passegger/NAOJ)

図2:2024年10月15日、日没後にマウナケア山頂域で撮影した、紫金山・アトラス彗星とすばる望遠鏡(Canon EOS 600D, 18mm, f/4.0, 330s, ISO 800)(クレジット:Dr. Vera Maria Passegger/NAOJ)