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20 周年を迎えるアカマイ・インターンシップを4名の大学生がハワイ観測所で経験

2023年11月6日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2024年10月9日

今年で20周年を迎えるアカマイプログラム(Akamai Workforce Initiative)は、天文台や研究機関、企業等での職業体験を通じて、ハワイ出身または在学中の大学生が地元で科学技術関連の職業に就くことを支援しています。2023年のアカマイプログラムでは、4名の大学生がハワイ観測所に滞在し、8週間にわたってそれぞれの課題に取り組みました。

20 周年を迎えるアカマイ・インターンシップを4名の大学生がハワイ観測所で経験
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図1:ハワイ観測所に夏季実習生(インターン)として滞在した大学生と指導教員。4名の大学生はそれぞれ、超広視野多天体分光器(PFS)の冷却スイッチの改良、観測中に使用するスカイモニターのソフトウェアの更新、高地からのライブ配信用冷却システムの再設計、そして、統合インフラシステムの開発と導入に取り組みました。(クレジット:国立天文台)

ハワイ観測所は、2005年からアカマイプログラムに参加し、これまでに 40 人の学生を実習生として受け入れてきました。ハワイ観測所の指導教員から提案され、実習生が取り組んだ課題は、今後、実習生自身とすばる望遠鏡の両方にとって大いに役立つでしょう。

ハワイ島出身のローガン・ワルツジェンさんはカメハメ・ハスクール ハワイ島キャンパスを卒業し、アリゾナ州のグランドキャニオン大学で電気工学を専攻しています。PFS の冷却スイッチを改良するにあたり、「たくさんリサーチして臨みました」と語っています。「よく練られた課題をいただいたおかげで、実地の作業に加えてコンピュータ作業や設計でも経験を積むことができました。与えられた仕事をこなし続ける中、指導教員に励まされ多くのことを学びました。私がこの経験を通じて習得したのは、一生懸命働くこと、そして最高の製品を作るために常に努力を惜しまないことです」とワルツジェンさんは振り返ります。

20 周年を迎えるアカマイ・インターンシップを4名の大学生がハワイ観測所で経験
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図2:ローガン・ワルツジェンさん(左)と指導教員のルシオ・ラモスさん(右)。(クレジット:国立天文台)

マウイ島とワシントン州シアトル出身のジョナサン・マーチャントさんは、ミネソタ州のカールトン大学でコンピュータサイエンスと歴史を専攻しています。夜間観測中に使用するスカイモニターのソフトウェアパッケージを、古いインターフェースからパイソンというプログラミング言語を用いたものに更新する課題に取り組みました。「この更新のおかげで、ソフトウェア部門での今後のメンテナンスや機能更新作業が快適になるでしょう」とマーチャントさんは成果に自信を見せています。

マーチャントさんを指導し、8年連続でアカマイプログラムの指導教員を務めるラッセル・カックリーさんは「彼が手がけたソフトウェアを、すばる望遠鏡の観測者が毎晩使うと考えると、ワクワクしませんか?新規計画の予備調査や後々使われない課題ではなく、実際に活用されて観測所の役に立つ仕事をしてもらうことが、本当に意味のあることなのです」と課題の価値を説明します。

20 周年を迎えるアカマイ・インターンシップを4名の大学生がハワイ観測所で経験
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図3:ジョナサン・マーチャントさん(中央)と指導教員のラッセル・カックリーさん(左)とエリック・ジェスキさん(右)。(クレジット:国立天文台)

オアフ島出身で、同島のカピオラニ・コミュニティ・カレッジで電気工学を専攻するカメア・マクミラン-ジルバーマンさんは、標高 4200 メートルのマウナケア山頂域から安定したライブ配信を行うため、装置の冷却方法を模索しました。「アカマイプログラムは、必要な経験を積む絶好の機会だと感じました。指導教員とお互いのアイデアを出しあい、それぞれの欠点を指摘することで、より良いデザインにたどり着けました。指導教員との議論を通じて、馴染みのないコンセプトへの理解が深まったし、実際に働くのがどういうことなのかがわかりました」とマクミラン-ジルバーマンさんは手応えを感じています。

20 周年を迎えるアカマイ・インターンシップを4名の大学生がハワイ観測所で経験
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図4:カメア・マクミラン-ジルバーマンさん(中央)と、指導教員のマイケル・レメンさん(右)とオリビエ・ギュヨンさん(左)。(クレジット:国立天文台)

オアフ島出身で、同島のハワイ大学マノア校でコンピュータサイエンスを専攻するジェイス・イシミさんは、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(HCI)とよばれる統合インフラシステムの開発と導入に携わりました。イシミさんの指導教員であるコーディー・ルビオさんは「私たちは共にシステムエラーを修正したり、ブレインストーミングをして、問題解決のためのいろんなアイデアを出し合いました。私は今年初めてメインの指導教員を務めましたが、とても楽しかったです。若い世代への知識と技術の伝承は、非常に重要な任務だと考えています」と語ります。

20 周年を迎えるアカマイ・インターンシップを4名の大学生がハワイ観測所で経験
図5

図5:ジェイス・イシミさん(右)と、指導教員のコーディー・ルビオさん(左)。(クレジット:国立天文台)

アカマイプログラムは 2003年に始まり、これまで 500 名以上の学生がインターンの機会を提供されています。そして、250 名以上が科学技術分野の職に就いています。前出のラッセル・カックリーさんは、インターンシップの意義を「専門的な職場環境において、コミュニケーション、チームワーク、課題解決、トラブルシューティングの経験を積むことができます。学んだことは、専門性を要するプロジェクトや職業選択できっと役立つことでしょう」と語っています。

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