トピックス・お知らせ

トピックス

ナアレフ小学校の児童がすばる望遠鏡山麓施設を見学

2023年4月6日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2023年11月14日

国立天文台ハワイ観測所は、ハワイ島全域に天文学と STEM(科学・技術・工学・数学)教育を届ける新プログラム「すばるスターズ」を進めています。その一環として、ナアレフ小学校の3年生と4年生、合計 100 人近くの児童を、ヒロにある山麓施設に招待しました。イミロア天文学センターと共同で行われたこのフィールド・トリップ(校外学習)で、子どもたちは両施設を探索しながら、太陽系外惑星などの天文学と、それに関連した科学技術を学びました。

ナアレフ小学校の児童がすばる望遠鏡山麓施設を見学 図

図1:ハワイ観測所山麓施設前に集合した、ナアレフ小学校の子どもたち。2022年11月29日撮影。(クレジット:国立天文台)

「私たちのほとんどは、子ども時代の経験がきっかけで、将来なりたい職業を選びます。子ども達がこのフィールド・トリップで、すばる望遠鏡のことをワクワクしながら学んでくれると期待しています」と、宮崎聡 ハワイ観測所長は語ります。

3D メガネで天体を眺めながら太陽系内を旅行したり、「100 の目の怪物」こと、市民サイエンスプロジェクト「パノプテス(PANOPTES)」について学んだり、実験室ですばる望遠鏡シミュレーターを確認したり、プラネタリウムで月に投げ縄をかけたりと、全ての体験が興味深く、科学的発見につながるものでした。

ナアレフ小学校の児童がすばる望遠鏡山麓施設を見学 図2

図2:3D メガネをかけて宇宙旅行「クルーズ」を楽しむ子どもたち。臼田-佐藤功美子 広報普及専門員の案内で、国立天文台 4D2U プロジェクトが開発した4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」(ミタカ)を使用しました。(クレジット:国立天文台)

マカマエ・タヤメンさん(9歳)がこのフィールド・トリップで気に入ったのは、ハワイ観測所を拠点とした市民サイエンスプロジェクト「パノプテス」について学んだことでした。パノプテスは、恒星の前を横切る太陽系外惑星を検出するため、世界中のだれもが低価格のロボット望遠鏡を作れることを目指しています。

「私たちはパノプテスロボットが、夜起きて恒星を観察することで惑星を見つけ、昼間は寝ていることを知りました。惑星が見つかると、天文学者は恒星や惑星、すべての情報をコンピューターに入力し、惑星について調べることもわかりました」とタヤメンさんは説明します。

ナアレフ小学校の児童がすばる望遠鏡山麓施設を見学 図3

図3:山麓施設のシミュレーター実験室にて、器械・電子機器テクニシャンのマイク・レメンから、すばる望遠鏡のシミュレーターについて学ぶ子どもたち。(クレジット:国立天文台)

イミロア天文学センターでは、シニア・プラネタリウム・テクニシャンで教育者でもあるエミリー・ピーヴィーさんが、私たちの太陽系で起こっていることや、今夜、ハワイ島から肉眼で見える惑星について解説しました。また、過去に月で溶岩が流れたことも紹介しました。子どもたちは、太陽はなぜ恒星なのか、太陽系の惑星の種類(岩石惑星とガス惑星)、さらに惑星と準惑星の違いについて学びました。

「『イミロア』で一番好きだったのは、プラネタリウムに行ったことです。座って月に投げ縄をかける真似をしました。そうしたら、本当に月が近づいているように見えました!」とイヴリン・カードウェルさん(9歳)は話します。

「ヒロに在住の科学者と直に交流し、この島で行われている科学にふれることは、子どもたちにとって、科学を身近に感じて興味を抱く絶好の機会です。展示物にふれたり、プラネタリウムで学ぶ機会があると、子どもたちの好奇心に火がつき、学校で習っていることとつながります。この経験は、学びの旅を続ける上で深く刻まれることでしょう」と、イミロア天文学センター学校教育プログラム責任者のクリッシー・ギアシさんはフィールド・トリップの意義を語ります。

ハワイ観測所は、このような教育プログラムが届きにくい地域の子どもたちが「すばるスターズ」の一環として山麓施設を訪問し、天文学と科学を体験的に楽しむことができる活動を続けてまいります。今年度も4月から5月にかけて、既にいくつかのフィールド・トリップが予定されています。

■関連タグ