ハワイ時間 2026年3月2日の深夜、太平洋地域などで皆既月食が観測されました。日食が地球上の限られた帯状の地域でしか見られないのに対し、月食は月が地平線上に出ている地球上の広い地域から観測することができます。ハワイ観測所のサポートアストロノマーであるベラ・マリア・パッセガー(Vera Maria Passegger)さんは、マウナケア山頂域にあるすばる望遠鏡施設から皆既月食を撮影しました。また、同じくサポートアストロノマーの田中壱さんは、月食の様子をライブ配信しました。

図1:すばる望遠鏡の上空で見られた皆既月食。元画像はこちら(2.1 MB)。(Canon EOS 600D、210 second exposure、10mm、f3.5、ISO 3200)(クレジット:Dr. Vera Maria Passegger/NAOJ)
この日、マウナケア上空は日没前から雲に覆われていましたが、深夜、皆既食が始まって間もなく晴れ渡りました。「絶妙なタイミングで晴れて、本当にラッキーでした」と、月が地球の影の中を移動していく様子を見ながら、パッセガーさんは語ります。皆既食の間、月が赤く見えるのは、太陽光が地球の大気を通過する際に青い光が大気中の分子によって散乱されるためです。散乱されにくい赤い光だけが大気を通り抜け、地球の影の中にある月面を照らします。「もし皆既月食中に月面に立っていたとしたら、太陽が地球にすっぽり隠される皆既日食を見ることになるでしょう。そのときには、地球の大気の外層がぼんやりと赤く光っているのが見えるでしょう」とパッセガーさんは、月からみた日食に思いを馳せます。

図2:マウナケア山頂域で撮影した皆既食中の月。(Canon EOS 600D、1/5 second exposure、300mm、f5.7、ISO 3200)(クレジット:Dr. Vera Maria Passegger/NAOJ)
田中壱さんは、すばる望遠鏡施設からのライブ配信開始5周年を記念し、朝日新聞と協力して、特設の星空ライブカメラによる配信を行いました。「日本国内では、東京都三鷹市の国立天文台本部を含む複数の機関がライブ配信を予定していましたが、雨天のため実施できませんでした。マウナケアも曇天に見舞われましたが、途中から晴れ、私たちの配信を利用してくださった日本の機関もありました。日本やハワイ地元の方々、そして世界中の視聴者と、皆既食の瞬間を共有できたことを大変うれしく思います」と田中さんは語ります。皆既食が始まって間もないハワイ時間 2026年3月3日午前1時25分頃、月を覆っていた雲が晴れ、その様子がマウナケアから世界中に配信されました。皆既食が終わって月が地球の影から抜け出し、次第に明るさを取り戻していった様子も動画に記録されています。
動画:マウナケア山頂域にあるすばる望遠鏡施設からライブ配信された皆既月食。朝日新聞宇宙部 YouTube チャンネルからもご覧になれます。(クレジット:国立天文台&朝日新聞社)



