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壁いっぱいに広がる宇宙―東京ドームシティで、すばる望遠鏡の天体画像を体感

2025年12月24日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2025年12月25日

東京ドームシティ内の宇宙体感施設「Space Travelium TeNQ(スペーストラベリウム テンキュー)」で開催中の企画展「宇宙を旅する写真展」に、すばる望遠鏡がとらえた迫力ある宇宙画像が展示されています。

壁いっぱいに広がる宇宙―東京ドームシティで、すばる望遠鏡の天体画像を体感 図

図1:本写真展・第1部「すばる望遠鏡 宇宙の神秘を探る」が始まる空間。(クレジット:国立天文台)

本企画展では、会場の壁面や床面を使い、まるで宇宙空間に入り込んだかのようなスケールで天体画像を展示しています。展示は2つのパートで構成されており、前半では、国立天文台ハワイ観測所が運用する「すばる望遠鏡」で撮影された天体画像が紹介されています。

展示されているのは、画像集『すばる望遠鏡 宇宙の神秘を探る』(国立天文台ハワイ観測所 編著)から選りすぐられた約 30 点。太陽系から、星形成領域、太陽系外惑星、遠方銀河など、宇宙の多様な姿を、大判ならではの迫力で楽しむことができます。

HSC フィルターが語る、観測装置のスケール

今回の展示では、天体画像とあわせて、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム;HSC)のために製作されたフィルターの実物も展示されています。直径約 60 センチメートルという巨大なフィルターは、HSC 全体の大きさ(高さ約3メートル、重さ約3トン)を想像させ、すばる望遠鏡のスケールを来場者に実感させてくれます。

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図2:HSC のフィルター2種。背後の白色光がフィルターを透過すると色づいて見えるなど、展示の工夫も凝らされています。(クレジット:国立天文台)

天文学者が語る、研究の舞台裏

12月19日には、写真展の監修を務めた渡部潤一(国立天文台 上席教授)と、画像集の編集委員を務めた国立天文台ハワイ観測所の田中賢幸、松元理沙によるクロストークも行われました。

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図3:12月19日に行われたクロストークの様子。(クレジット:国立天文台)

会場では、展示中のすばる望遠鏡の天体画像を大スクリーンに映し出しながら解説。研究者がすばる望遠鏡をどのように活用しているのか、標高 4200 メートルでの観測の苦労や、近年主流となったリモート観測の実際、さらには画像集制作の裏話まで、ここでしか聞けないエピソードが語られました。

展示されている画像の中で、渡部と田中がともに「イチオシの1枚」として挙げたのは、「COSMOS 深宇宙領域」。無数の銀河がすき間なく写し出されたこの画像は、宇宙が銀河で満たされていることを直感的に感じさせる一枚です。

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図4:クロストークで「イチオシの1枚」を語る渡部と田中。(クレジット:国立天文台)

トークの最後には、次のような言葉が添えられました。

渡部:「宇宙画像は最近では美術館でも展示され、芸術的に受け止められることも多いですが、今回は宇宙好きな人も集まる場所で、大判で展示することができました。これほど大きなサイズで見られる機会は稀少です。ぜひ宇宙の美しさに没入してもらえたら嬉しいです」

田中:「もともと自分の趣味で HSC のデータから観賞用の綺麗な画像を作りはじめたことが、画像集制作のきっかけでした。それらの画像が一冊の本に収められ、さらにこのような場所で大判展示されることになり、感無量です」

年末年始も開催中、銀河のネーミング企画も

「宇宙を旅する写真展」は、1月12日まで開催され、年末年始も無休で楽しむことができます。会場では、HSC が撮像した銀河に名前をつける「銀河のネーミングコンテスト」も実施中です。

すばる望遠鏡が切り取った壮大な宇宙の風景を、ぜひ会場で体感してみてください。

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