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宇宙とポケモンの謎にせまる巡回企画展『ポケモン天文台』がスタート!

2025年11月20日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2025年11月20日

国立天文台は株式会社ポケモンと協力し、宇宙や天文学を楽しく学べる巡回企画展『ポケモン天文台』を、2025年11月1日から相模市立博物館(神奈川県)で開催しています。宇宙の謎を解き明かしたいという探究心と、未知なる生き物「ポケモン」との出会いや発見を求める好奇心はよく似ています。その「ワクワク」「ドキドキ」を原動力に、宇宙とポケモンというふたつの世界の不思議にせまります。

宇宙とポケモンの謎にせまる巡回企画展『ポケモン天文台』がスタート!
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図1:ポケモン天文台の入口。2025年10月30日オープニングセレモニーに登場した「ほしぞらピカチュウ」と。(クレジット:国立天文台)

展示は、第1章「天文台から宇宙へ」、第2章「身近な宇宙にせまる」、第3章「見えない宇宙を見る」、第3章と第4章をつなぐ「メテノトンネル」、第4章「生命の星地球」、第5章「未知なる謎にいどむ」からなります。

すべての章で、宇宙・天文のテーマとポケモンをペアにして紹介しています。たとえば第2章では、太陽系の惑星と、似た特徴をもつポケモンを並べて紹介し、惑星からでもポケモンからでも、両方の世界に詳しくなれる内容になっています。第3章では、恒星の一生を、星形成の過程と似た進化をとげるポケモン「コスモッグ」と重ねて解説しています。また、太陽系の惑星とは異なる「世界」を持つ 12 の太陽系外惑星を、それぞれの惑星に似た特徴をもつポケモンとともに、クイズ形式で紹介します(図2)。第5章では、宇宙とポケモン、それぞれに残された未解決の謎を3つずつ取り上げ、ペアで紹介しています。

宇宙とポケモンの謎にせまる巡回企画展『ポケモン天文台』がスタート!
図2

図2:太陽系外惑星クイズパネル(左)。めくると惑星の特徴と、似た特徴を持つポケモンの解説が読めます。12 の太陽系外惑星の中には、すばる望遠鏡が直接撮像した GJ 504 b と、ぎょしゃ座 AB星 b(右)も含まれています。これらの惑星に似た特徴のポケモンが何か、展示会場で確かめましょう!(クレジット:国立天文台)

「宇宙に関連するポケモンが多く、天文学とポケモン世界の親和性が高いとはいえ、実際にふたつの世界をどのように絡ませ、展示としてストーリーを作り上げるのかは試行錯誤でした。毎月、長時間にわたる定例会議で、関係者全員で天文学とポケモンの結びつきを模索したほか、国立天文台メンバーでも、何度も議論を重ねました。そして、天体とポケモンの進化はどちらも、同じ個体の姿や状態が変化することを指すので、親和性が高いことに気づきました。さらに、メンバーの一人が、ポケモンの進化には恒星型と惑星型があることを指摘しました。恒星は生まれた時の質量で、寿命や一生の終え方が決まりますが、恒星のように最初から進化経路が決まっているポケモンがいます。その一方で、惑星は同じ材料から生まれても、太陽からの距離など異なる環境下で、金星、地球、火星は別の姿に進化しました。そして惑星のように、まわりの環境・条件によって異なる姿に進化するポケモンもいます。これは、新たな気付きでした。」と、ポケモン天文台に最初から関わった臼田-佐藤功美子 ハワイ観測所広報普及専門員は語ります。

すばる望遠鏡のあるハワイ島マウナケア山頂域は、天文学とポケモン世界が重なる場所です。ゲーム「ポケットモンスター サン・ムーン」の舞台アローラ地方は、ハワイ諸島がモデルだと思われ、マウナケア天文台群を連想させるホクラニ天文台が登場します。「私がサン・ムーンのゲームをして感銘を受けた点のひとつは、ホクラニ天文台に電波望遠鏡があることです。天文台・望遠鏡というと、通常、光学望遠鏡が描かれることが多い中、ホクラニ天文台には、マウナケア同様、光学望遠鏡に加えて電波望遠鏡がある!この感動を来場者に伝えたくて、資料を作成して株式会社ポケモンを含む関係者に共有したところ、マウナケア天文台群とポケモン世界の天文台の比較パネルができあがりました(図3)。このパネルが展示されることが、嬉しくてたまりません」と臼田-佐藤さんは喜びを語っています。

宇宙とポケモンの謎にせまる巡回企画展『ポケモン天文台』がスタート!
図3

図3:第3章に登場するすばる望遠鏡の模型(右端)の隣に展示された、ポケモン世界の天文台(左)とハワイ島のマウナケア天文台群(右)の比較パネル。(クレジット:国立天文台)

宇宙とポケモンの謎にせまる巡回企画展『ポケモン天文台』がスタート!
図4

図4:第5章「未知なる謎にいどむ」では、国立天文台が国際協力のもとで計画を進めている、口径 30 メートルの超大型望遠鏡 TMT が登場します。「太陽系の外に生き物がいる惑星はあるのか」という謎を解き明かすために、TMT で期待されている役割の紹介パネル(左)と、TMT の模型(右)。(クレジット:国立天文台)

過去・現在・未来をつなぐ日本の天文学の歩みを体感できることも、本企画展の大きな魅力です。第2章では国立天文台所蔵の貴重書や二種類の暦を通して昔の天文学に触れ、第3章では稼働中の望遠鏡で明らかになった現代の宇宙像を知り、第5章では未解決の謎に挑む次世代の研究へとつながります。

相模原市立博物館での開催は 2026年1月12日までで、その後、全国の博物館などを巡回する予定です。入場券の購入方法や今後の巡回スケジュールについては、『ポケモン天文台』特設サイトをご覧ください。天文学とポケモンの世界が融合した、他に類を見ないユニークな展示を通して、謎と発見に満ちたふたつの世界をお楽しみください。そして将来、宇宙とポケモンの謎を解き明かすのは、この企画展を訪れたあなたかもしれません。


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