すばる望遠鏡に搭載される超広視野多天体分光器 PFS(Prime Focus Spectrograph)の起ち上げ作業が進んでいます。東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)を中心に、国立天文台も参加する国際共同研究チームは、すばる望遠鏡へ観測装置を持ち込んで組み上げつつ、2021年9月から望遠鏡に取り付けての動作試験や試験観測を行ってきました。PFS は光ファイバーを通して最大約 2400 天体のスペクトルを同時に取得します。2023年には4本のファイバーケーブルと4台の分光器が全てそろい、約 2400 本のファイバー全てのスペクトル画像が取得できるようになりました。装置の起ち上げもいよいよ大詰めを迎えています。
現在、PFS プロジェクトチームは、ハワイ時間 2024年3月8〜17日に行われた試験観測で取得したデータを鋭意解析中です。ファイバーの配置精度や装置効率など、装置やデータの様々な特性理解を進めつつ、データ解析ソフトウェアの改良や共同利用観測にむけての実証試験を進めています。

図2:2024年3月に行われた試験観測での、すばる望遠鏡観測室の様子。山麓ヒロと三鷹のリモート観測室、zoom からの参加も合わせて、10 人以上のチームメンバーが参加しました。(クレジット:PFS プロジェクト、国立天文台)
PFS は、今後 2024年5月〜6月に2度予定されている試験観測およびその後の準備・調整期間を経て、2025年前期(2月から)の科学運用開始を目指します。