ハワイ島で2005年から毎年実施されている教育プログラム「ジャーニー・スルー・ザ・ユニバース」(以下「ジャーニー」) が今年で 18 回目を迎えました。ジャーニーでは、マウナケア天文台群や関連研究機関のスタッフが、出前授業を行います。今年は2022年2月28日から3月4日の開催となりましたが、コロナ禍での感染防止対策として、昨年と同様にオンラインでの実施となりました。
ハワイ観測所では、毎年たくさんの科学者・技術者がジャーニー週間に出前授業を行っています。今年はジャーニー全体で約 30 の授業や職業に関する座談会が開催された中、ハワイ観測所と国立天文台 TMT プロジェクトからは、吉田道利、田中壱、ラッセル・カックリー、プリーシ・クリシュナムーシー、臼田知史、ジュリアン・ロッジ、セバスチャン・ヴィバード、林左絵子、臼田-佐藤功美子、能丸淳一の 10 名が授業を、ジュリアン・ルセールと嘉数悠子の2名が座談会のパネリストを、そしてアンドリュー・ニューガーテンが授業の司会を務めました。授業や座談会の対象学年は、小学校0年生 (キンダーガーテン) から 12 年生 (高校最高学年) まで多岐にわたります。
吉田道利ハワイ観測所長 (2021年3月現在) は、「恒星と元素の起源 (Stars and the Origin of Elements)」というタイトルで、高校生向けに授業をしました。簡単な元素記号を使いながら恒星内での核融合反応を説明しました。そして、私達の体をつくる炭素、窒素、酸素といった元素は、恒星の内部で作られ、それが超新星爆発で宇宙にばらまかれたものであることを紹介しました。授業の後に、金や銀はどのように作られるのかといった質問がよせられたのに対して、中性子星の合体など最新の見解を説明しました。
対面での授業に比べると、宇宙の面白さを、児童生徒ひとりひとりにどのくらい届けられたか不安に感じた今年のジャーニー。その反面、ジャーニー世話人によると、ハワイ島以外からも授業が閲覧されているそうで、新しい広がりを見せました。
2022年4月現在、ハワイ州では、集会の人数制限などのコロナ禍における制限が終了し、対面でのイベントが徐々に復活しつつあります。すばる望遠鏡ではこのような状況を考慮しながら、地元での天文教育普及活動を進めてゆく予定です。