すばる望遠鏡 Hyper Suprime-Cam (HSC) を用いた観測的宇宙論の研究成果を発表した論文に対し、日本天文学会欧文報告論文賞 (PASJ 論文賞) が授与され、3月に開催された日本天文学会春季年会において授賞式が開催されました。
この研究成果は宇宙の大規模構造によって遠方銀河像に現れる弱い重力レンズ効果を用いて宇宙のダークマターの量と分布を調べたものです。研究の内容はすばる望遠鏡ウェブサイトでも 2018年のプレスリリースでご紹介しています。この研究成果はその後世界的に大きな注目を集め、今回の受賞となりました。
受賞にあたり、筆頭著者である東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の日影千秋 特任准教授は、「すばる HSC による宇宙論の成果が今回の受賞につながり大変嬉しく思います。本研究は HSC チームの多大な労力によって成し得たものであり、関係者の皆様に深く感謝致します。今回の成果は HSC の初期データに基づくものであり、今後さらにデータを積み上げることでダークマターやダークエネルギーの謎の解明に迫れるものと考えます。今回の受賞を励みにさらに研究を進めてまいります」と語っています。
また、HSC の製作と研究をリードしてきた国立天文台の宮崎聡教授は、「私達の先輩方が作られたすばる望遠鏡が、すばらしい機械・光学性能を持っていたから、HSC のような大型カメラを載せても、高い結像性能を実現することができました。そして、それが今回の成果につながっていると思います」と話しています。
受賞論文は、2019年3月6日付けで、日本天文学会が発行する学術誌 PASJ に掲載されました (Chiaki Hikage et al., "Cosmology from cosmic shear power spectra with Subaru Hyper Suprime-Cam first-year data")。
トピックス・お知らせ
トピックス
すばる望遠鏡 HSC による論文に日本天文学会欧文報告論文賞
2021年3月31日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2023年9月21日
■関連リンク
■関連タグ