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すばる望遠鏡と「ニュー・ホライズンズ」の共同観測で探る太陽系外縁部

2020年7月14日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2020年7月21日

すばる望遠鏡は、米国航空宇宙局 (NASA) の太陽系外縁天体探査機「ニュー・ホライズンズ (New Horizons)」との共同観測を、2020年5月から進めています。すばる望遠鏡に搭載した超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (ハイパー・シュプリーム・カム, HSC) を活用して、探査機が今後調査する対象天体の候補を探す、たいへん重要な役割を担います。この共同観測には国立天文台ハワイ観測所など日本の研究者も参加しています。

すばる望遠鏡と「ニュー・ホライズンズ」の共同観測で探る太陽系外縁部 図

図1:2020年6月19日 (ハワイ時間) に行われた観測の様子。マウナケアにあるすばる望遠鏡山頂施設、ヒロ山麓施設にあるリモート観測室、そして各地にいる観測チームメンバーをテレビ会議システムでつなぎ、観測が進められました。リモート観測室では、観測チームの中心メンバーの一人で、HSC を担当するサポート・アストロノマーの寺居剛さん (ハワイ観測所) が、天候の状態やデータの品質を確認していました。(クレジット:国立天文台)

ニュー・ホライズンズは2006年にフロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられました。10 年近くの旅を経て、2015年7月には地球からおよそ 48 億キロメートルの冥王星をフライバイ (近接通過) し、冥王星とその衛星たちを詳細に観測しました。冥王星の地形を鮮明に写し出した数々の画像は、私たちを驚かせました。また2019年には別の太陽系外縁天体 (486958) Arrokoth もフライバイ・観測しました。

ニュー・ホライズンズは引き続き太陽系外縁部の探査を続けていますが、今後の観測対象天体を探す上で白羽の矢が立ったのがすばる望遠鏡です。ニュー・ホライズンズの責任者であるアラン・スターン氏 (米国・サウスウェスト研究所) は、「天体捜索を目的とする今回の観測を行う上で世界で最も優れた望遠鏡を、と考え、私たちはすばる望遠鏡を使っています。すばる望遠鏡の持つ世界最大級の口径、そして一度に多くのカイパーベルト天体を見つけ出すことができる HSC の広い視野、これらの組み合わせが私たちの目指す観測を可能にするのです」と、すばる望遠鏡を使った観測への期待を語ります。

すばる望遠鏡では、ニュー・ホライズンズが現在航行している「いて座」の方向で、HSC の2視野分、満月のおよそ 18 個分の広さに相当する領域を観測しています。この観測では新たな太陽系外縁天体が 100 個以上見つかると予想されていて、そのうちのおよそ 50 天体はニュー・ホライズンズに搭載されたカメラでも観測可能であると観測チームは期待しています。

すばる望遠鏡とニュー・ホライズンズの両方で観測することが、太陽系外縁天体の謎に迫る上でたいへん重要な意味を持ちます。太陽系外縁天体を地球上の望遠鏡から観測すると、天体に太陽光がほぼ正面から当たる「満月」のような状態になります。一方、ニュー・ホライズンズでは、太陽光が横から当たる「半月」のような状態になる別の方向から観測できる場合があります。同じ天体を太陽光の当たり方が異なる状態で観測することで、その天体の表面の特徴を詳しく調べることができるのです。

さらに観測チームは、すばる望遠鏡で新たに見つかった天体の中に、(486958) Arrokoth で実施したようなニュー・ホライズンズのフライバイに適した天体があるかも検討します。

すばる望遠鏡での観測はまず2020年5-6月に行われ、8月にも再び行われる予定です。観測チームは、時間を空けて複数回撮影された画像を比較することで新たな天体を探し、さらにその天体の軌道を精密に決定することを目指しています。

観測チームの中心メンバーの一人で、HSC を担当するサポート・アストロノマーの寺居剛さん (ハワイ観測所) は、「観測領域がちょうど天の川の中にあるため、背景星がたくさんあったり、近くにとても明るい星があったりと、なかなか難しい観測です。すばる望遠鏡のユニークな性能を最大限に活かすことで良質な観測データを得て、ニュー・ホライズンズとともに太陽系の起源に迫れるよう、観測チームで協力して工夫を凝らしていきます」とコメントしています。

すばる望遠鏡と「ニュー・ホライズンズ」の共同観測で探る太陽系外縁部 図2

図2:すばる望遠鏡の主焦点に搭載された HSC。(クレジット:国立天文台/HSC Project)

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