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マウナケア山頂で撮影された大マゼラン雲

2017年2月15日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2023年9月21日

マウナケア山頂のすばる望遠鏡サイトから、大マゼラン雲が撮影されました。大マゼラン雲は地球から肉眼で見える数少ない銀河ですが、天の南極のそば (赤緯マイナス 69.76 度) にあるため日本からは見ることができません。北緯約 20 度に位置するハワイでも場所によって地平線をかすめる程度しか昇らず、その姿を撮影することは極めて困難と思われていました。

マウナケア山頂で撮影された大マゼラン雲 図

写真: マウナケア山頂で撮影された大マゼラン雲。真南の方向の超低空、マウナロアすれすれをかすめます (黄色い丸印で囲まれた所)。雪が積もる丘の後ろで赤く輝くのは、キラウエア火山の火口からの光です。丸印なしの画像はこちら。(クレジット:国立天文台/田中壱)

すばる望遠鏡サポート・アストロノマー (科学的見地から観測を支援する観測所スタッフ) の田中壱さんはある夜、雲モニターの地平線すぐ上に「しみ」のようなものがあるのに気づきました。調べたところこの「しみ」はちょうど大マゼラン雲の位置に一致することがわかったのです。

そこで田中さんはハワイ時間2017年2月12日の日没後、担当する観測までの待機中に一眼レフカメラで撮影を試みました。そして、ちょうど真南の方向の超低空、マウナロアすれすれをかすめる大マゼラン雲の撮影に成功したのです。

「ハワイ島がアメリカ最南の土地であることに加えて、マウナケアの空がとても澄んでいるおかげで、高度1度にも満たない大マゼラン雲を撮影できました。結構大きいんだな、と、撮影した画像を見て思いました。月が昇ると大マゼラン雲は消えてしまいました」と田中さんは語ります。

今回一眼レフカメラで撮影された大マゼラン雲ですが、残念ながら高度が低すぎてすばる望遠鏡では観測できません。詳細な観測研究は、南半球や宇宙にある望遠鏡に委ねなければなりません。


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