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すばる望遠鏡ぼうえんきょうはどこにあるの?

 すばる望遠鏡ぼうえんきょうは、太平洋の真ん中のハワイにあります。ハワイにはおよそ 130 の島がありますが、その中で一番大きな ハワイ島にある、 マウナケアという山の頂上ちょうじょう近くに建設けんせつされました。マウナケア山頂の標高ひょうこう4,205メートルもあり、すばる望遠鏡は富士ふじ山頂よりも高いところにあります。

すばる望遠鏡

 

なぜマウナケアの山頂さんちょう近くにたてられたの?

 よく晴れ、夜空が暗く、大気が安定して、湿気しっけが少ないという天体観測かんそく必要ひつよう条件じょうけんがそろっていたのが、マウナケア山頂域さんちょういきだったためです。マウナケアは地球上で天体観測にもっともてきした場所として知られています。

マウナケア山頂付近の望遠鏡群

 

すばる望遠鏡ぼうえんきょうはなにを観測かんそくするためにつくったの?

 すばる望遠鏡ぼうえんきょうは、宇宙うちゅうからやってくる様々な波長のうち、人間のに見える可視光かしこう赤外線観測かんそくしています。太陽けいのなかの惑星わくせい彗星すいせい、太陽のような星が誕生たんじょうする様子、星がたくさん集まった天体である銀河ぎんがなど、いろいろな天体を調べることができます。なかでもすばる望遠鏡は、太陽以外いがいの星のまわりの惑星姿すがたや、たくさんの銀河の位置いち距離きょりを調べて、宇宙全体のつくりを調べる研究に力を入れています。

波長と望遠鏡

国立天文台スペシャルサイト「多波長で観る宇宙ー波長と望遠鏡」より https://www.nao.ac.jp/study/multiwave/


 

すばる望遠鏡ぼうえんきょうはどのくらいの大きさ・重さ?

 天体からの光を集めるかがみ主鏡しゅきょう)は、直径ちょっけい8.3メートル(※)もあります。あつさは20センチメートルです。 この主鏡を天体に向けるためのすばる望遠鏡ぼうえんきょうの本体(水平方向・高度方向に動く部分)は、高さ22.2メートル、重さ555トンあります。 また、望遠鏡本体を雨風や雪から守っている円筒形えんとうけいのドームは、高さ43メートル、直径40メートルあり、水平方向に回転する部分の重さは2000トンにもなります。
実際じっさいに光を集める部分は直径8.2メートルです。

すばる望遠鏡の大きさ

 

すばる望遠鏡ぼうえんきょうは、どんなしくみで天体を見ているの?  

 すばる望遠鏡ぼうえんきょうには、直接ちょくせつのぞくしくみはありません。そのかわりにカメラ(観測装置かんそくそうち)でデータをとり、そのデータをコンピューターの画面などを通して見ています。デジタルカメラと同じしくみですね。
 すばる望遠鏡には、かがみ主鏡しゅきょう)に入った天体 の光を集める場所(焦点しょうてん)がいくつかありますが、その一つ「カセグレン焦点」を使った場合のれいを、以下いか紹介しょうかいします。

 
れいカセグレン焦点しょうてんの場合》
カセグレン焦点の説明図1
望遠鏡ぼうえんきょうを見たい天体の方角に向け、天体からやってきた光を凹面鏡おうめんきょうである「主鏡しゅきょう」で集めます。
カセグレン焦点の説明図2
主鏡しゅきょう」が集めた光を、望遠鏡のつつ先においたべつかがみ副鏡ふくきょう)に反射はんしゃさせ、「主鏡」の真ん中に開いた小さなあなを通して、望遠鏡の下部に取りつけたカメラ(観測装置かんそくそうち)に集めます。
カセグレン焦点の説明図3
カメラは光をデータ(デジタル信号しんごう)として記録きろくします。
カセグレン焦点の説明図4
データは、望遠鏡の隣の建物たてものにある観測室(コントロールルーム)や山ろくの天文台施設しせつに送られ、保存ほぞんされます。データはコンピューター画面などで見ることができますが、きれいな天体 画像がぞうとしてみるには、データの処理しょり必要ひつようです。
 
すばる望遠鏡の鏡と焦点

 

望遠鏡ぼうえんきょうの「焦点しょうてん」ってなに?どんな種類しゅるいがある?

 焦点しょうてんとは、望遠鏡ぼうえんきょうに入った光線が集まる点のことで、そこにカメラをおいてデータをとります。ガリレオ・ガリレイが使ったような屈折くっせつ望遠鏡の場合、焦点は1か所ですが、 すばる望遠鏡のような反射はんしゃ望遠鏡の場合は、 反射鏡はんしゃきょうの組み合わせによって、いくつかのことなる箇所かしょ焦点を作ることができ、それぞれの特長とくちょうを活かして天体観測かんそくすることができます
 
《すばる望遠鏡の場合》

すばる望遠鏡ぼうえんきょうには 4つの焦点しょうてんがあります。(主焦点、カセグレン焦点、ナスミス焦点×2か所)
すばる望遠鏡の焦点
  • 主焦点しゅしょうてん主鏡しゅきょうで集めた光が直接ちょくせつ集まる点で、空の広い範囲はんいを一度に観測かんそくするのにてきしています。
  • カセグレン焦点主鏡しゅきょうで集めた光がもう一つのかがみ副鏡ふくきょう)で反射はんしゃされて集まる点で、天体を詳しく観測するのに適しています。
  • ナスミス焦点:副鏡で反射された光がさらにもう1枚のかがみ反射はんしゃされ、望遠鏡の横の位置いちに集まる焦点です。高度方向に動かない架台かだい部分に位置するので、大きな観測装置かんそくそうちをおくのに向いています

 

 
すばる望遠鏡ぼうえんきょうは、どのくらい遠くまで見えるの?

 すばる望遠鏡ぼうえんきょうは、100おく光年こうねん(光がとどくのに100億年かかる距離きょり以上いじょう銀河ぎんが姿すがたをとらえています。そのうちの一つが以下いかの写真。中央にある小さな赤い点が、その天体です。
 この天体は「銀河」で、地球までの距離きょりは、なんと131億光年です。光の速さで走ったとして、この銀河から地球まで、131億年もかかります。つまり、それだけ昔の宇宙うちゅうの見ていることになります。 131億年前というと、宇宙が生まれてからわずか7億年くらい、という時代を見ていることになります。

すばる望遠鏡が捉えた131億光年の銀河

すばる望遠鏡がとらえた131億光年の銀河


 

すばるが撮影さつえいしたきれいな写真は、どこで見られる?

 すばる望遠鏡ぼうえんきょう公式サイトの「すばるギャラリー」では、すばる望遠鏡で撮影さつえいした最新の画像がぞうをたくさん掲載けいさいしています。ぜひお気に入りの天体てんたい画像を見つけてみてくださいね。

オリオン星雲

地球からの距離約1500 光年にある「オリオン星雲」


 

すばる望遠鏡ぼうえんきょうでは、何人くらいはたらいているの?

 ハワイ島にある施設しせつでは、100人あまりの人々がはたらいています。地元の方をはじめ、日本人、アメリカ人、フランス人など、いろいろな国の人がいます。
すばる望遠鏡ぼうえんきょう施設しせつ 大しょうかい!

ハワイ観測所ヒロオフィス

ハワイ観測所の山ろく施設入口


 

すばる望遠鏡ぼうえんきょうで働くには、どうしたらいい?

 すばる望遠鏡ぼうえんきょうではたらく研究者は、大学を卒業そつぎょうしたあと、大学院で数年間研究者になる訓練くんれんをうけた人たちです。天体観測てんたいかんそくを行って天文学の研究をするには、天体てんたいについての知識ちしきくわえて、物の動きや性質せいしつ、光のつたわり方などいろいろなことを知って理解りかいしておく必要ひつようがあります。
 また、望遠鏡を動かしたり、カメラを新しく作ったりする技術ぎじゅつになるには、機械きかいや電気、コンピュータの知識が必要ひつようです。そのために、算数や理科の知識や考え方を身に着けておくことが大事です。
 すばる望遠鏡では、天文学者や技術者以外いがいにもいろいろな仕事をしている人がいて、経歴けいれきはさまざまです。どの場合にも、すばる望遠鏡本体は米国のハワイに設置せっちされているため、英語えいごが必要になることが多いです。
おしごと紹介しょうかい

すばる望遠鏡ではたらく人々

 

ハワイのすばる望遠鏡ぼうえんきょうを見学したい!

 残念ざんねんながら16さい未満みまんのこどもは、すばる望遠鏡ぼうえんきょうのある山の上まで登ることはできません。すばる望遠鏡があるマウナケアの山の空気は、平野にくらべて半分くらいしかないので、体に悪い影響えいきょうがあるかもしれないからです。
 施設内見学について

すばる望遠鏡

 

ハッブル宇宙望遠鏡うちゅうぼうえんきょうのような望遠鏡とすばるでは、どっちがすごいの?

 地球の大気の外で観測かんそくを行う宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうは、地球で観測する場合とちがって、大気のゆらぎで天体の姿すがたがぼやけることがないので、効率こうりつよく天体てんたいの細かな画像がぞうをとることができるのが特長とくちょうです。
 しかし、望遠鏡の大きさでは、宇宙望遠鏡は地上望遠鏡にかないませんハッブル宇宙望遠鏡主鏡しゅきょう直径ちょっけい2.4メートルであるのに対し、すばる望遠鏡の主鏡の直径(光を集める部分)は8.2メートルもあります。これにより、たくさんの光を集めてくわしく分析ぶんせきする力では、すばる望遠鏡のほうがすぐれています。また、大気を通るときの光のみだれを直して観測かんそくする技術ぎじゅつも開発されていて、それを用いると、宇宙望遠鏡に負けずに天体の細かな画像をとることもできるようになってきています。

ハッブル宇宙望遠鏡

Copryright: Hubble Space Telescope


 

電波望遠鏡ぼうえんきょうとはなにがちがうの?

 地球には、様々な種類しゅるい電磁波でんじは宇宙うちゅうからとどいており、望遠鏡ぼうえんきょうごとにどの電磁波を観測かんそくできるかが決まっています。電波望遠鏡は、その名の通り電波を集めて観測する望遠鏡で、すばる望遠鏡で観測している光(可視光かしこう)や赤外線とは、見えるものがちがいます。
 おおまかにいうと、可視光では温度の高いもの、電波では温度の低いものがよく見え、赤外線はその中間くらいです。具体的には、可視光では太陽のような星がよく見え、電波ではガス雲がよく見えます。このほかにもガンマ線・Xエックス線・紫外線しがいせんなどがあり、それぞれことなる宇宙うちゅう姿すがたが見えます。
 いろいろな方法で調べることにより、宇宙の本当の姿を知ることができます。

波長と観測対象

国立天文台スペシャルサイト「多波長で観る宇宙ー波長と観測対象」より https://www.nao.ac.jp/study/multiwave/ 


 

すばる望遠鏡ぼうえんきょうは、ほかの望遠鏡とどこがちがうの?

 可視光かしこう赤外線観測かんそくをする望遠鏡ぼうえんきょうとして、主鏡しゅきょう直径ちょっけい8~10メートルの望遠鏡が世界で10台以上動いていますが、その中でもすばる望遠鏡は、主鏡が1枚のかがみでできている望遠鏡として最大のもののひとつです(直径が8.1~8.4メートルの望遠鏡がいくつかあります)。
 大型の望遠鏡のなかでも、すばる望遠鏡は主焦点しゅしょうてん」にカメラを設置せっちできるのが特長とくちょうです。この一度に広い範囲はんいを観測する能力のうりょくにより、他の望遠鏡を大きく上回る性能せいのう発揮はっきします。

すばる望遠鏡

レーザー照射時のすばる望遠鏡ドーム


 

地球はいつ生まれたの?地球のさいごはどうなるの?

 地球は今からやく46おく年前に、太陽や他の太陽けい惑星わくせいとほぼ同じ時期に生まれました。
 地球のさいごがどうなるか、はっきりとしたことはわかりません。「約50億年後、寿命じゅみょうがつきそうになって巨大きょだいにふくれ上がり赤色巨星せきしょくきょせいとなった太陽によって、地球は飲みこまれる」、「白色矮星はくしょくわいせいとなり暗くなってしまった太陽のまわりをしずかに回りつづける」、などが考えられています。
 すばる望遠鏡ぼうえんきょうでは、太陽のような星(恒星こうせい)の誕生たんじょうから、「赤色巨星」という巨大な赤い星になり、やがてもえかすが白くかがやいている状態の「白色矮星」になるまでのいろいろな段階だんかいを、くわしく観測かんそくして調べています。太陽や地球の未来みらいが、より正確せいかく予測よそくできるようになることが期待されています。

すばる望遠鏡がとらえた惑星状星雲BD+303639

太陽のような星が、一生を終える頃に外側の物質を放出し、小さな天体「白色矮星」を残す様子の例(すばる望遠鏡がとらえた惑星状星雲BD+303639)


 

太陽けいで一番遠い天体はなに?

 太陽けい惑星わくせいのなかで一番遠いのは海王星かいおうせいです。太陽からの距離きょりは、太陽と地球の間の距離のやく30倍あります。
 しかし、さらにその外がわに、惑星より小さな天体がたくさんあることがわかっています。海王星の軌道きどうの外がわにあるこれらの天体は、まとめて「 太陽系外縁天体がいえんてん」とよばれますが、その中で、太陽と地球間の100倍以上いじょうの距離がある天体も、次々見つかってきています。
 すばる望遠鏡ぼうえんきょうは、このような遠くの小さな天体を発見したり、その明るさの変化へんかはかったりすることで、太陽系の全体の様子を調べています。新たに遠い天体を見つけた場合は、すばる望遠鏡のサイトで発表するので、気になる人はチェックしてみてください。

【観測成果】すばる望遠鏡により太陽系の最も遠くで発見された天体の記録が更新(2021年2月10日)

太陽系

海王星の外がわにも、小天体が次々と発見されてきており、すばる望遠鏡でも調べています。


 

太陽以外いがいの星のまわりにも、惑星わくせいはあるの?

 太陽以外いがいの星(恒星こうせい)のまわりにも、惑星わくせいがある場合が多いことがわかってきています(系外けいがい惑星)。すでに、数千もの恒星のまわりに、惑星があることが確認されています。木星のような大きな惑星が見つかりやすいですが、最近では地球のような比較的小さな惑星があることもわかってきています。
 すばる望遠鏡ぼうえんきょうは、太陽以外の星(恒星)を高解像度かいぞうど撮影さつえいし、そのまわりに惑星を発見することに成功せいこうしています。また、惑星の影響 えいきょうで星の動きが変化へんかする様子を調べ、まわりの惑星を見つけるという研究も行っています。

太陽以外の星のまわりに発見された惑星の例。

太陽以外の星のまわりに発見された惑星の例。中央にある明るい恒星の光を、観測装置でかくすことでその光を遮断(しゃだん)し、周辺にある暗い惑星を見つけ出します。


 

星座せいざはだれが決めたの?

 夜空の星のならびを、人や動物などにみたてて名前をつけた星座は、大昔から、世界中で考え出されてきました。現在げんざいの星図にえがかれている星座は、世界の天文学者の集まりである「国際天文連合こくさいてんもんれんごう(IAU)」というところが決めたもので、88星座あります。
 ちなみに、明るい星や明るさのわる星は、「星座せいざの名前」と「アルファベット」の組み合わせでよばれることがあります(「オリオン座αアルファ」など)。また、天の川銀河あまのがわぎんがの近くにある小さな銀河矮小わいしょう銀河)には、星座名がそのままつけられることがあります(「こぐま座 矮小銀河」など)。天文学者はふだん、あまり星座を気にすることはないのですが、論文ろんぶんなどで上のような星の名前にふれるとき、星座を意識いしきすることがあるんですよ。

国立天文台では毎月「ほしぞら情報」を発信しています。

国立天文台では毎月「ほしぞら情報」を発信しています。今夜見える星座は何かな? https://www.nao.ac.jp/astro/sky/


 

宇宙うちゅうには、何くらい星がある?

 天の川銀河あまのがわぎんがには、1000億個おくこ以上いじょうの星(恒星こうせい)があると考えられています。これは一つ一つ数えていったのではなく、銀河ぎんが全体の重さと、ふつうの星の重さから推定すいていした数字です。(位置いち正確せいかくはかられ、距離きょりや動きまで調べられている星の数は、まだ10億個あまりです!)
 実は宇宙うちゅうには、天の川銀河のような銀河が、数千億個あると考えられています。ですから、宇宙にある星の総数そうすうは、1000億個×数千億個!しんじられない数になりますね!

天の川のイメージ

 

星は生まれたり死んだりする?

 星は、宇宙うちゅう空間のガスが集まって生まれてきます。天の川銀河あまのがわぎんがのなかでも、次々と星が生まれてきている場所があります。有名なのはオリオン星雲せいうんで、そこではさまざまな重さの星が今まさにかがやき始めています。
 時間がたつと、星は姿すがたえ、大爆発ばくはつを起こして一生を終えるものもあります。太陽のようなあまり重くない星は、爆発を起こすことはなく、表面からガスがぬけていき、さいごは小さくて暗い星(白色矮星はくしょくわいせい)になります。
 すばる望遠鏡は、オリオン星雲のようなガス雲を赤外線観測かんそくし、星やそのまわりの惑星わくせい誕生たんじょうする様子をき明かす研究を行っています。

オリオン星雲の赤外線画像

星が生まれている場所の例(オリオン星雲の赤外線画像)


 

星は死んだらどうなるの?

 星(恒星こうせい)のさいごの姿すがたは、星の重さによってことなります
 太陽よりもずっと重い星の場合は、さいごに大爆発ばくはつ超新星爆発ちょうしんせいばくはつ)を起こして、大部分がふきんでしまいます。ふき飛んだ物質ぶっしつは、ガスちり微粒子びりゅうし)として宇宙うちゅう空間にばらまかれ、やがて新しい星が生まれるときの材料ざいりょうになることもあります。星の中心部は、小さな天体(ブラックホール中性子星ちゅうせいしせい)としてのこります。
 太陽のような軽めの星の場合は、大爆発を起こすことはなく、外がわのガスが少しずつ流れ出し、さいごは中心部だけが小さな天体(白色矮星はくしょくわいせい)としてのこります。流れ出した物質ぶっしつはやはり、宇宙空間のガスちりとなっていきます。ガスが流れ出す間に惑星状星雲わくせいじょうせいうんとしてかがやくことがあります。
 すばる望遠鏡は、超新星爆発惑星状星雲観測かんそくを行って、どんな物質が放出されるのか、周囲しゅういにどのような影響えいきょうあたえるのか、などの研究を行っています。

※ここでは「星の死」は核融合反応かくゆうごうはんのうでエネルギーを作り出してみずからかがやく段階だんかいを終えることを指すこととしました。その後には白色矮星ブラックホールなどがのこるので、死ぬという代わりに「新たな天体に姿すがたえる」という言い方もできるかもしれません。

かに星雲 M1

超新星爆発の名残であるかに星雲(かに星雲 M1)


 

星の明るさはいつも同じ?

 太陽のように、長年にわたって明るさがほとんどわらない星(恒星こうせい)がある一方で、星のなかには、数時間〜1年程度ていどで明るさを大きく変える天体てんたいがあり、それらは変光星へんこうせいとよばれています。
 その多くは、星がふくらんだりちぢんだりすることにともなって明るさがわるもので、有名な変光星のひとつに、ミラ(くじら座オミクロン星)があります。1年弱の周期しゅうきで、人間のに見える光の明るさが8等級(1000倍以上いじょう)も変わります!
 また星は、長い時間をかけて構造こうぞうが変わり、明るさも変わってきます。太陽も、数十おく年後には、今よりも何千倍も明るくなります。星の中には、構造の変化へんかによって短期間に明るさが大きく変わるものもあり、とくに、大きくふくれ上がった「赤色巨星せきしょくきょせい」が、外がわから物質ぶっしつを放出して「白色矮星はくしょくわいせい」になる段階だんかいでは、数十年で明るさが大きく変わることがあります。
 すばる望遠鏡を用いて、こういう星の姿すがたの変化や、放出された物質の研究も行われています。

ほしぞら情報|くじら座のミラを探してみよう

「ほしぞら情報|くじら座のミラを探してみよう」https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2019/11-topics01.html


 

ブラックホールってなに?

 とても重いのに小さな天体で、強い重力のために何も出てこられない範囲はんいのことをいいます。ここに引きこまれると二度と出てこられず、光や電波も出てきません。

ブラックホール

ブラックホールの周辺がかがやいていても、ブラックホールの重力の影響で光が届かない場所があることが、電波の観測でとらえられました。(Credit: EHT Collaboration)


 

ブラックホールはどうやってできるの?さいごはどうなるの?

  ブラックホールは、太陽よりもずっと重い星が 超新星爆発ちょうしんせいばくはつを起こし、中心部分が 重力でどこまでもつぶれつづけていくことで 誕生たんじょうします。これにより、太陽の数倍から数十倍の重さのブラックホールができることがわかっています。
 ただし、 銀河ぎんがの中心にある 巨大きょだいブラックホールのような、ふつうの星の重さよりずっと重いブラックホールについては、このでき方とは明らかにちがうと考えられ、 べつのでき方がないか研究が行われています。 天の川銀河あまのがわぎんがの中心には、 太陽の430万倍もの重さのブラックホールがあることが分かっています。また他の銀河には、 太陽の10おく倍もの重さのブラックホールがあると考えられているものもあり、このような 巨大ブラックホールは、 周囲しゅうい物質ぶっしつを飲みこんで 成長せいちょうしたというだけでは 説明せつめいしにくいのです。
  すばる望遠鏡は、このような 巨大ブラックホールを見つけたり、その ブラックホールと銀河の 関係かんけいを調べたりする研究を行っています。 ブラックホールはさいご、長い時間をかけて 質量しつりょううしない「 蒸発じょうはつしてしまう」と 理論的りろんてきには考えられていますが、それには 非常ひじょうに長い時間がかかるので、その様子や 影響えいきょう直接ちょくせつ観測かんそくすることはできていません。
2019年にすばる望遠鏡によって新発見された、地球から距離 130.5 億光年にある巨大ブラックホールを持つ天体

2019年にすばる望遠鏡によって新発見された、地球から距離 130.5 億光年にある巨大ブラックホールを持つ天体(矢印の先にある赤い点) (クレジット:国立天文台)


 

ブラックホールは目に見えないのに、どうやって発見するの?

 ブラックホール自体からは光は出てきません。しかし、その周囲しゅういには天体ガスちりがあり、多くの場合、回転運動しています(回転していることによる遠心力によって、簡単かんたんにはブラックホールに落ちこみません)。それを調べることにより、ブラックホールがあることがわかり、その重さなどを調べることができるのです。
 天の川銀河あまのがわぎんが中心の星の動きを調べると、いくつかの星が、楕円軌道だえんきどうえがいて動いていることがわかり、その中心にある天体がブラックホールであること、重さは太陽の約430万倍であることがわかりました。すばる望遠鏡でも、これらの星の動きをくわしく観測かんそくし、ブラックホールやその周辺を調べる研究が行われています。
 また、ブラックホール周囲しゅういのガスが高温になり、非常ひじょうに明るくかがやくことがあり、数十おく光年こうねんかなたの天体でも、その光をとらえることができます。これらの現象は「クエーサー」と呼ばれ、すばる望遠鏡でもさかんに研究が行われています。

クェーサーの想像図

クェーサーの想像図 (クレジット:松岡良樹)

宇宙うちゅうはいつ、どうやってできたの?

 宇宙の始まりは、138おく年前であることがわかってきました。とても温度の高い火の玉のような状態じょうたいで始まり、その後、宇宙は膨張ぼうちょうつづけていることがわかっています。この始まりのことはビッグバンとよばれています。ビッグバンには、3つの証拠しょうこがあるとされています。
 1つ目は、宇宙が全体として膨張していることで、これはぎゃくに言えば昔は小さな宇宙であったことになります。
 2つ目は、宇宙からとどく電波には、どちらからもほぼ同じ強さでやってくる成分せいぶんがあることです(マイクロ波宇宙背景放射はいけいほうしゃとよばれます)。これは、宇宙がまだ高温だったある時期に光が通るようになり、その時の光の名残なごりであると考えられることから、ビッグバンの強い証拠とされます。
 3つ目は、ビッグバンでは物質ぶっしつ元素げんそ)のなかで水素すいそヘリウムが作られると予想されており、実際じっさいの宇宙でも多くの星や星雲で水素ヘリウムの割合は同じくらいであることから、これもビッグバンの証拠とされています。

宇宙望遠鏡プランクによって測定されたマイクロ波宇宙背景放射

宇宙望遠鏡プランクによって測定されたマイクロ波宇宙背景放射(ESA提供)

 

宇宙うちゅうはどのくらい広いの?どのくらいの範囲はんいがわかっているの?

 わたしたちの宇宙は、誕生たんじょうから138おくの間に光が到達とうたつできる範囲となります。(※これを138億光年ということもできますが、膨張ぼうちょうつづける宇宙における距離きょり定義ていぎはいくつかあり、それによってちがう数字で表されることもあります。)その外がわにも、同じような空間が広がっていると考えられていますが、直接ちょくせつ調べることはできません。
 これまでに見つかっているもっとも遠くの天体てんたい銀河ぎんが)は、光が134億年ほどかけてとどく距離にあるものです。つまり、宇宙が誕生たんじょうしてから、わずか4億年ほどの時代にあった銀河の光を見ていることになります。すばる望遠鏡は、このような遠くの天体を多数発見するのに活躍かつやくしています。
 ただし、遠くの天体が見つかったといっても、それは明るくかがやく天体についてだけです。もともと暗い天体は近くにあってもなかなか見つかりません。すばる望遠鏡は、このような遠くの天体も調べる一方、天の川銀河あまのがわぎんがのなかの星や太陽系内の小天体など、いろいろな距離にある天体を調べています。

すばる望遠鏡で発見された遠くの銀河たち

すばる望遠鏡で発見された遠くの銀河たち(○でかこまれた天体)


 

宇宙うちゅうはなにでできているの?

 宇宙を形づくる星( 恒星こうせい)や 星雲 惑星わくせいなどは、地上にあるのと同じもの(元素げんそ)でできています。元素というのは、水素すいそ酸素さんそ・鉄などのことです。ただし、地球では酸素ケイ素が多くありますが、恒星や星雲では、水素ヘリウムという元素が圧倒的あっとうてきに多いという違いがあります。(これは地球ができたときに、水素ヘリウムは大部分がうしなわれてしまったためです。)
 天体てんたいがどういう元素でできているのかは、やってくる光を分析ぶんせきするとわかります。光には色があり、天体からの光は多くの色をふくんでいます。天体にふくまれる元素のちがいによって、色ごとの光の強弱がちがってくるため、それを利用するのです。すばる望遠鏡でも、「分光器ぶんこうき」という装置そうちで天体にふくまれる元素の研究が行われています。
 一方、宇宙には、星や星雲をつくらない未知みち物質ぶっしつ暗黒物質あんこくぶっしつ)が多量たりょうにあると考えられています。光を出さないこの物質は重力をもっていて、ふつうの物質を引きつける力をおよぼします。りょう(重さ)としては、ふつうの物質の数倍もあるとみられており、銀河ぎんがを形づくるのにはかせないと考えられていますが、その正体はまだわかっていません。すばる望遠鏡は、遠くの銀河をたくさん見つけてその位置いち測定そくていすることにより、宇宙のどこにどのくらいの暗黒物質があるのかも調べています。

明るい天体の背後にある光(本来は観測できない)が、リング状になって見えていることで、その天体の周囲に、重力で光を曲げる暗黒物質があることがわかる

明るい天体の背後にある光(本来は観測できない)が、リング状になって見えていることで、その天体の周囲に、重力で光を曲げる暗黒物質があることがわかる


 

宇宙うちゅうはさいごにはどうなるの?

 宇宙全体は、膨張ぼうちょうつづけています。しかも、その膨張は現在げんざい、次第に速くなっていることがわかってきました。宇宙にある物質ぶっしつ(主に暗黒物質あんこくぶっしつ)による重力は、宇宙の膨張をおさえるはずなので、それをふり切って膨張を速めるには、なにかのエネルギーがはたらいているのではないかと考えられ、「暗黒エネルギー」と名づけられていますが、その正体は全くわかっていません。
 このあと宇宙は膨張を続けるのか、やがて膨張は止まってちぢみ始めるのか、あるいは膨張はどんどん速まってしまうのか、いまのところはっきりしたことはわかりません。これを知るには、これまでの宇宙がどのように膨張してきたのかを丹念たんねんに調べ、現在の膨張がなぜ起こっているのか理解りかいする必要ひつようがあります。すばる望遠鏡はいろいろな距離きょりにある銀河ぎんが をたくさん調べ上げ、宇宙の膨張の様子を明らかにする研究に取り組んでいます。

すばる望遠鏡で観測された天体画像と解析で得られた暗黒物質の分布図

すばる望遠鏡で観測された天体画像と解析で得られた暗黒物質の分布図 (等高線)


 

地球以外いがいの星に生物は住んでいる?

 今のところ、地球以外いがいに生物がいることの証拠しょうこは見つかっていません。これを見つけようというのが、天文学者の大きな目標もくひょうのひとつとなっています。
 火星や木星・土星の 衛星えいせいには、液体えきたいの水が存在そんざいしている(あるいは昔に存在した)可能性かのうせいがあり、生命も存在しているかもしれないと期待されています。太陽けい内の天体は、探査機たんさきによって調査ちょうさができるため、近い将来しょうらい、生命が見つかる可能性かのうせいはあります。
 一方、太陽以外の 恒星こうせいのまわりを回る 惑星わくせいが次々と見つかっており、そのなかには地球と同じくらいの大きさの惑星もあります。そのような惑星の表面を調べると、生命活動と関係かんけいする物質ぶっしつ酸素さんそ分子やメタンなど)が見つかる可能性があります。これは探査機で調べるわけにはいきませんが、惑星をもつ恒星は多数あるので、宇宙にどのくらい生命が存在するところがあるのか、あるいは地球や太陽系が特別とくべつな場所なのか、やがてわかる日がくるでしょう。
 なお、「生命とはなにか」というのはむずかしい問題です。わたしたちが知っているのは地球上の生命だけですが、宇宙では全くちがう生命の形もあるのかもしれません。そういう意味でも、宇宙における生命活動の研究は興味きょうみ深いものです。

太陽以外の恒星トラピスト1

太陽以外の恒星トラピスト1のまわりには、地球サイズの惑星が7つもあることが分かっている ※惑星の模様は想像図(クレジット:NASA)


 

他の星には移住いじゅうできる?

 太陽けいの中の天体てんたい、たとえば火星には行くことが可能かのうです。ただし、地球とは環境かんきょうがだいぶちがうので、移住いじゅうするとなるとかなり困難こんなんがあるでしょう。
 一方、太陽以外いがい恒星こうせいのまわりにも、惑星わくせいがあることがわかってきていて、そのなかには地球によく似た惑星が見つかるかもしれません。ただし、こういった星・惑星までの距離きょりは、太陽系の中の天体にくらべるとはるかに遠く、光の速さでも数十年、数百年かかります。人類じんるい寿命じゅみょうだと、ふつうに行ったのでは移住できません。

1995年にスイスのチームによって発見が報告された、初めての系外惑星である「ペガスス座 51 番星 b」の想像図

1995年にスイスのチームによって発見が報告された、初めての系外惑星である「ペガスス座 51 番星 b」の想像図。ESO/M. Kornmesser/Nick Risinger 提供の図をトリミング。(クレジット:ESO/M. Kornmesser/Nick Risinger, CC-BY 4.0)