トピックス

すばる望遠鏡次世代 AO ワークショップを開催

2011年10月7日

  すばる望遠鏡の補償光学 (Adaptive Optics; AO) システムは、2010年11月の再始動後順調に稼働し、科学的成果を産み出しつつあります。補償光学は地球大気のゆらぎをリアルタイムで補正して望遠鏡の性能を極限まで引き出す技術で、すばる望遠鏡のもつ力をさらに高めるものであり、また検討が進んでいる次世代超大型望遠鏡 (TMT) 計画では必須の技術となっています。

  2011年9月8日~9日に、「すばる望遠鏡次世代 AO ワークショップ」が開催されました。これは、現在活躍している補償光学システムの次のすばる望遠鏡用補償光学システムについて、天文学コミュニティで議論するためのワークショップとして企画されたもので、会場である大阪大学中之島センターには TV 会議での参加を含めて 70 名以上の研究者らが集まりました。

  従来の補償光学システムは、望遠鏡の視野の中の特定の天体に対して大気ゆらぎ補正を行うものでしたが、新たな補償光学システムとして、より広い視野で高い集光力を発揮するシステムが提案されました。また、この次世代補償光学システムを実現することで可能になる科学観測について、銀河系内の恒星、星形成領域から宇宙論的遠方銀河の観測まで、様々な可能性が提起されました。すばる望遠鏡では、広い視野を活かした観測で多くの優れた科学的成果が産まれてきましたが、これまでの広視野観測では補償光学システムを用いることができませんでした。次世代補償光学システムで広い視野、多数の天体について、望遠鏡の性能を大幅に向上させた観測を行うことで、新たな宇宙の姿が見えてくることが期待されます。

  今回のワークショップを受けて、科学観測の要求に適した次世代補償光学システムの検討をさらに進め、今後のユーザーズミーティングなどの機会に報告し、議論を深めて、実現に向けたステップを進めていくことが確認されました。


<関連リンク>


figure

写真: ワークショップの様子。





画像等のご利用について

ドキュメント内遷移