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天文機器開発実験センター

2003年7月25日

 天文学の観測では、望遠鏡にカメラや分光器などを取り付けて観測を行います。これらの装置は、観測を行う人が必要な機能を考え、自ら設計して組み上げる場合や、メーカーと共同で開発・製作する場合があります。このような天文の分野の開発に必要とされる機能を集約した施設が天文機器開発実験センターです。開発実験センターはすばるの装置開発が活発化した1994年に国立天文台の三鷹地区に共同利用施設として建設され、天文観測の機器を開発している大学・研究機関の研究者、大学院生に利用されています。すばる望遠鏡に搭載されている観測装置の多くが開発実験センターを利用して作られたものです。

 開発センターの中には、プロジェクト室と共同利用設備があります。プロジェクト室は地上の望遠鏡で使用される機器から気球や衛星に搭載される機器の開発まで、分野を問わず利用されています。共同利用設備には、機械・光学・回路などの設計を行うデザインショップや、機械工作を行う マシンショップ、エレクトロニクスの開発を行うエレキショップ、光学系の開発のために光学測定器を揃えているオプトショップ、クリーンルームなどがあります。これらの設備は開発センターのスタッフが自ら開発を行いながら、整備しています。


開発実験センター

マシンショップ
2階建て(一部3階)の建物に多くの機能が詰まっています。 多くの工作機械があり、専門の技術スタッフが常駐して観測機器の製作を行っています。

 天文学の分野の開発プロジェクトは、立ち上がっては実現されて開発の現場から消えてゆき、また別のプロジェクトが立ち上がる、ということの繰り返しです。すばる関係の開発が減った現在は、太陽観測衛星であるSOLAR-Bの開発・試験が盛んになっており、一方でサブミリ波観測の国際共同プロジェクトであるALMA計画に関する開発が増えてきています。開発実験センターはこのような流動的な環境の中で、今後も開発の現場としての機能を果たし続けていくことでしょう。


赤外シミュレーター
すばる望遠鏡で使われるレーザーガイド AO システムの実験風景 開発実験センターに設置されている口径1.5mの赤外望遠鏡です。すばるの観測装置であるCISCOやAOはこの望遠鏡でテスト観測した後にハワイに輸送されました。

 

 

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