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CIAOがファーストライト!
2000年4月14日
今回は、FOCAS と同じ2月にファーストライトを迎えた CIAO について特集します。CIAO は、波面補償光学装置 AO (Adaptic Optics)とともに用いるコロナグラフ撮像装置 (Coronagraphic Imager with Adaptive Optics) です。FOCAS や COMICS 、IRCS と同様に、CIAO は、すばる望遠鏡のカセグレン焦点に取りつけます。外観は COMICS とよく似ており、装置本体は銀色の真空容器(魔法瓶)の中に入っています。大きさは縦・横・高さが約2m、重さが約2トンあります。
山麓施設のシミュレータに取りつけ試験中の CIAO
FOCAS は可視光、COMICS は中間赤外線を観測する装置です。CIAO は可視光と中間赤外線の間、波長0.9~5.5μ m(μmは0.001mm)の近赤外線を観測します。装置が暖かいとそれ自身が赤外線を発し、観測の邪魔となります。そこで装置全体を魔法瓶の中に入れ、約マイナス220度以下に冷やしています。
すばる望遠鏡の第一期観測装置の中で、近赤外線を観測する装置はCIAO の他に OHS、IRCS があります。 CIAO がこれらの観測装置と異なる点は、コロナグラフ機能があることです。コロナグラフは、黒い円形のマスクにより中心にある明るい星を覆い隠すことができます。その結果 、通常は星の光でさえぎられて見られない星の周辺構造や近くにある天体の観測に威力を発揮します。
コロナグラフ機能
サンプル画像
山麓施設における動作試験に合格した CIAO は、1月19日にマウナケア山頂のすばる望遠鏡に向けて出発しました。山頂での最終試験の後、すばる望遠鏡のカセグレン焦点に取り付けられ、観測の出番を待ちます。
すばる望遠鏡に取り付けられた CIAO
2月9日、CIAO は撮像装置として恒星の観測に初めて成功しました。CIAO のファーストライトです。続く10日には、マスクを用いた観測にも成功しました。満足のいく試験結果を得たCIAO にとって、波面補償光学装置 AO の観測準備が整うのを待つだけです。
すばる望遠鏡の横にある観測制御棟での観測準備風景
マスクにより隠された恒星
マスクは完全に光をさえぎらずに、ある程度の光を通します。そのため、恒星の一番明るい中心部分はマスクから透けて見えています。これはマスクの位置の微調整を行うためです。
冷却した赤外線のコロナグラフ撮像装置として、 CIAO は他の望遠鏡に類をみない、非常にユニークな観測装置です。これらの特徴を活かしたCIAO の観測目標は、星が生まれてくる現場の探査や星の周りを回る惑星を直接発見することです。今後の CIAO の成果は、ホームページ上にて発表する予定です。