近傍銀河コース
銀河を喰らえ
宇宙は弱肉強食の世界。 銀河同士の共喰い(=衝突合体)は日常茶飯事。誰が強いのか?誰が生き残るのか? 最新のすばるの画像を使って、銀河の世界を喰らいつくせ!
コース概要
真っ暗な初期宇宙で巨大なガス雲が冷えて収縮し、最初の星が生まれます。とりわけガスの濃いところでは多くの星が生まれ、それらが集団をなし、銀河となります。その後、周囲から降り積もるガスをどんどん星に変え、銀河は時間と共に大きく成長します。そして現在の宇宙には、渦巻き銀河から、楕円銀河まで実に様々な銀河が宇宙に存在しています。
この銀河の成長に重要な要素は、ガスを星に変換する星形成だけではなく、銀河同士の衝突合体、つまり銀河の共喰いにあります。とりわけ巨大な銀河は銀河の度重なる衝突合体の結果と考えられていて、銀河の食物連鎖の頂点にいます。
本コースでは、この銀河の衝突合体の現場をすばるHyper Suprime-Camで撮られた画像で捉え、この銀河の成長シナリオを最新データで観測的に検証します。具体的には、潮汐ストリーム等の衝突合体の痕跡を探し、それが銀河の物理量とどのような相関関係を示すかを調べます。とにかく銀河の画像をたくさん見ることになるので、本コースには「銀河愛」が必要です。ご注意ください。
指導プラン(4日間で学べること)
ハワイ観測所で遂行中のすばる史上最大の観測プロジェクト「Hyper Suprime-Cam すばる戦略枠プログラム」のデータを用いて、比較的近傍の銀河を調べます。
自然科学の研究とはどういうものかを体験してもらうべく、実際の解析ではアドバイスは少なめに、そして議論重視で進める予定です。解析は処理済みデータから出発しますが、実際の生データを画像処理するデモをお見せする予定です。
- 1日目: 銀河進化の座学。解析環境のセットアップ。解析スタート。
- 2日目: データ解析。実際に多くの銀河を目でみる。結果を集計。
- 3日目: 結果をグラフ化し考察、議論。発表準備。
- 4日目: 成果発表。
[スキルについて]
最低限必要なスキルは秋の学校までの宿題で身につくのと、技術的なところは現場で教えますので心配は不要です。銀河を愛する心と、何があっても折れない心があれば大丈夫です。
講師紹介
Masayuki Tanaka
研究内容の紹介
- ここでも述べたHyper Suprime-Camを用いて、近傍銀河から遠方銀河までの幅広い研究を行っています。 特に、(a)一部ケック望遠鏡に浮気をしてやっている初期宇宙における巨大銀河の形成、(b)銀河を取り巻く「環境」に依存した銀河形成・進化、(c)近傍銀河を用いた観測的宇宙論、(d)高精度測光的赤方偏移の推定手法の開発を行っています。