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すばる望遠鏡を支えるスタッフ (20)

2008年12月29日

今回は、日本・イギリス・オーストラリアの3国共同プロジェクトとして進行中の観測装置“FMOS”の開発に携わるスタッフの紹介です (情報は掲載当時のものです)。



FMOSコミッショニングマネージャー
高遠 徳尚

――仕事の内容を教えていただけますか?
 以前は初代の補償光学の開発に携わっていましたが、現在はFMOS 試運転責任者としてFMOSを共同利用装置に仕上げる仕事をしています。FMOSはすばるの装置としては初めて、国際的に分担して開発を進めてきた装置で、日本・英国・オーストラリアの3国共同開発プロジェクトです。私がこのプロジェクトに参加したときは、個別の開発要素の難しさだけでなく、お互いの進捗の調整、予算制度の違いなどさまざまな困難のために、当初の予定をだいぶ超過していました。私の役割は、装置の性能が当初の目標を達成し共同利用に供せられるようにプロジェクトをスケジュールし、長い間開発に携わってきた人たちの苦労が早く報われるようにすることです。
  研究の専門分野は、特に太陽系内における水(氷)の役割に興味を持っています。最近は南極に望遠鏡を造り、恒星の周りを長い周期で公転する系外惑星を探す計画を考えています。

――天文学の研究に興味のある読者に向けてメッセージをお願いします
 いろいろなことに興味をもって、自分の得意なことを伸ばすと良いのではないでしょうか。

 





FMOSコミッショニングサイエンティスト
田村 直之

―仕事の内容を教えていただけますか?
  複数の研究機関で開発されてきた各部分をつなげて、1つの観測装置として仕上げる作業が主な仕事です。大学院を修了した後、イギリスのダーラム大学で4年ほど働いていたので、イギリスの FMOS チームとのパイプ的な役割を担うことも多々あります。FMOSは沢山の天体を一度に効率よく観測できるので、この特徴を生かして得られたデータをもとに銀河の生い立ちに迫りたいと思っています。

――装置開発のやりがいとは何でしょうか?
 国際協力のもと長い年月を経て1つの成果が結実するプロセスを現場で目撃できるのは、かけがえのない経験だと思います。

――天文学の研究に興味のある読者に向けてメッセージをお願いします

 研究をする上では、現状を整理して問題点を正しく把握することがとても大事だと思いますね。それと、1つのことをやり遂げるには何かと手間と時間のかかる仕事が多いので、目標を定めたらそれに向かってあきらめずに努力する強い意志を持つことも大切じゃないでしょうか。

 





ジュニアアストロノミカル
サイエンティスト
木村 仁彦

――仕事の内容を教えていただけますか?
  大学院時代から、主焦点ユニットと呼ばれる望遠鏡と観測装置の接続部分の開発を中心に行っています。具体的には、主焦点部の機械設計で、構造を検討し、図面を作成、組み立て試験し、調整する作業です。

――すばる望遠鏡で働くようになったきっかけは何ですか?
 大学院生前期には、Suprime-Camという観測装置の開発に参加していました。この装置がほぼ完成し、もう少し開発を中心に研究活動をしたいと思っていたところ、京都大学の舞原俊憲先生の下で進行していたFMOSの開発計画に参加させていただきました。その後、すばるに来て、現地での調整作業をしています。

――装置開発の意気込みをお願いします

 FMOSに限らず、すばる望遠鏡の装置開発のような大きな研究プロジェクトは、他の研究者と協力しながら、一つ一つの事柄を積み上げて形にしていくチームプレイです。開発には思ったより時間がかかったり、予期せぬ失敗が起こったりすることもありますが、やりがいのある仕事だと思いますね。




「すばる望遠鏡を支えるスタッフ」のリスト



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