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いつもより雨の多いヒロ

2000年11月22日

 11月は、ここハワイの自然の力を見せつけられました。11月1日、ハワイ島の一部が記録的な大雨に見舞われました。ハワイ観測所の山麓施設があるヒロの町では、一日の降水量が 70cm にも達しました。そのため普段は枯れていた川が短時間の内に激流となり、あふれ出た水によって多くの道路や地域が水没しました。山麓施設は水害からはまぬがれましたが、周辺の落雷のため停電が頻繁に起こり、コンピュータ用の無停電装置が機能しなくなったり、コンピュータネットワークが数日間に渡り稼働しなかったなどの影響がありました。

ヒロの山麓施設の近くにある、洪水により寸断されたコモハナ通り

 マウナケア山頂の すばる望遠鏡へは大きな影響はなく、すぐに通常運用に戻りました。11月上旬は、AO と 7つの第一期観測装置のすべてが山頂に待機しているという状況でした。第二期観測装置が完成するまで間、全部の装置が山頂にて準備できている状態が理想的かもしれません。しかし実際には、装置が安定して動作するまで、調整のためにマウナケア山頂からヒロの山麓施設へ移送することがしばしばあり得ます。

 12月から始まる、2つの観測装置 IRCSSuprime-Cam による共同利用観測の体制は整いました。12月には、これら以外にも 3 つの観測装置 (COMICSOHSFOCAS) による観測が行われる予定です。望遠鏡の改良を引き続き行いながら、できるだけ早く世界中の天文学者に すばる望遠鏡を利用していただけるよう、共同利用観測の最初の一年は望遠鏡の調整作業の間に観測のための時間を設けています。IRCS、OHS/CISCO、HDS、そして FOCAS が利用できる、2000年4月から7月までの次期共同利用観測 Semester S01A に関するご案内はすでに行いました。観測提案書 (プロポーザル) の締め切りは、11月27日午後5時 (日本時間) です。

 11月4日には、マウナケア中腹にあるオニヅカ (*) ビジターセンターにおいて、ハワイ観測所のイアン・シェルトン博士による講演会が開かれました。オニヅカビジターセンターは、マウナケア山頂にて観測を行う天文学者が宿泊する施設 (ハレポハク中間施設) の隣に位置します。この講演会は、山頂に天文台を持つ機関が、毎月交代で主催する行事です。地元社会に対し、各天文台の最新成果や山頂での作業に関する説明が行われます。さらに 12 月には、日本の望遠鏡をハワイに建設するに至った経緯ついて、ハワイ観測所 安藤裕康所長による講演がヒロにおいて行われます。この講演会では、ハワイ観測所スタッフの子供達のハワイでの暮らしを記録した映画も上映される予定です。

 ハワイ観測所/すばる望遠鏡では、今後も、天文学に興味をお持ちの方のご要望にお答えできるように努力して参ります。

* エリソン・S・オニヅカ:ハワイ島生まれの宇宙飛行士。1986年1月28日のスペースシャトル チャレンジャー号の事故により亡くなった。

 

 

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