<第30回大型光学赤外線望遠鏡専門委員会議事録>(案)
日時:1999年11月16日午前10時30分〜午後16時15分
場所:国立天文台コスモス会館会議室
出席者:安藤、家(委員長)、太田、岡村、海部、唐牛、小平、小林、佐藤、
田村(幹事)、林、山田、(その他の出席者:濱部)
欠席者:郷田、舞原
1.前回議事録確認(家、資料30-1)
2.国立天文台委員会及び専門員会規則(案)(家、資料30-2)
大型光学赤外線望遠鏡専門委員会規則を他の専門委員会規則と横並びのもの
に改訂する案が事務方で検討中である。
すばる専門委員会と光赤外専門委員会は将来的には統合化することが望まし
いが今期は統合しないこととなった。小委員会設置の規程についても整備予定
であることが報告された。
3.すばる望遠鏡・ハワイ観測所状況報告(海部ほか)
3.1.観測所概略報告(海部、資料30-3)
9月の完成記念式典は予想以上の多数の参加者があり、現地スタッフの対応
は大変であったが、成功裏に終了した。各焦点の立ち上げ状況:主焦点・ナス
ミス焦点は少し時間がかかっている。トラブルも多数有るが、一つ一つ対応し、
進めている。12月からいよいよ第1期観測装置の立ち上げ・試験観測が始ま
る。共同利用は2000年10月からの開始を予定しているが、その内容は装置の
立ち上がり状況にも依る。ファーストライト及び試験調整期間中の観測データ
に基づく論文は20編近くになる予定。
すばるの新パンフレット(資料30-5)および9月16日のすばるプレスリリ
ース資料(資料30-6)が参考配付された。
4.光赤外ユーザーズミーティング報告(山田、吉田資料30-7)
今回のミーティングは、すばる共同利用に関する議論が中心であり、特に、
プロポーザル言語・外国への望遠鏡時間オープン・プロポーザル採択手続き・
共同利用時間・データ公開などについて、若手も含め参加者から多くの意見が
あった。ポスター発表が例年の倍以上も有ったことなど、全体的に活気が感じ
られた。
5.FMOSの製作実施計画について(太田、舞原資料30-8)
11月にFMOS主要メンバーが訪英した。前回すばる委員会での承認内容
(当面NIRの分光モードのみ)を説明し、ほぼ合意を得たと考えている。日本
側は装置製作費として約5.5億円程度かかると推定しているが、実際には英国
側の人件費(すばる側からの出資でない)がこれに追加される。結果的には全
予算のある割合(30%程度と想定)を英国側が負担したことになる。
当委員会では、すばる共同利用装置を国際協力で製作する場合のポリシーに
ついての意見交換を行った。主な論点は以下のとおり。
イギリス側は他の装置の使用に対する希望もあるが、その対応はどうするか。
FMOS試験観測期と公開後の観測時間の考え方を整理すべき。プロジェクト
コストの算定では、日本側のマンパワーコストもきちんと算定すべき。そのよ
うな算定・切り分けは日本側には馴染まないという意見もあった。イギリス側
はPIとして自由にすばる時間を要求する可能性もあるが、これまでのN+N協
力の流れからはサイエンスを一緒に育てる目的も重視される。2億円のコスト
負担はすばる全体のコストからみると小さく、望遠鏡時間としても少ないとい
う意見もあった。
ファーストデザインレビューは3月、最終デザインレビューは夏〜秋頃の予
定。
6.すばる開発小委員会報告(佐藤、資料30-9)
6.1.第2期観測装置候補の現況
*多天体近赤外撮像分光装置(MOIRCS):体制・仕様・特徴は資料参照。
マスター院生が主体で体制が弱い印象があるが、大学での開発体制強化の観点
から、ハワイ観測所プロジェクトととしてそのサポートで進めるのが良い。
*超高分散赤外分光装置(IRHS):体制・仕様・特徴は資料参照。最も重要
と思われる部分であるGaAsイマージョングレーティングの開発が順調に進ん
でいる。プロトタイプを名古屋大学でが中心になって製作する体制が整いつつ
ある。
6.2.すばるR&D経費の追加予算
5件の再申請があり、承認された。残りは赤外アレイへの投資とした。
7.装置製作合意書(資料30-10)
ユーザーズミーティング前に配布した「観測装置製作合意書」最終案へのコ
メントを取り入れて改訂した最終案が、海部所長から提案され、観測所員の定
義に関する項目2.8の一部の表現を再改訂して、最終的に承認された。
8.共同利用装置評価委員会について(資料なし)
共同利用装置の受け入れのための評価委員会のメンバーと開催法について、
ハワイ観測所の林・山下両委員より口答で提案があった。評価委員会はハワイ
観測所の装置立ち上げ担当グループ(望遠鏡、観測装置、計算機などの実質担
当者を含む)を中心に公開で行うが、開催前に特に性能観測テーマ等について
専門委員会委員にも開示し、評価の日程を連絡して可能な委員の参加を期待す
るなど、専門委員からの意見の反映の機会を設けることとした。
また、プロポーザル管理システムについて「すばる望遠鏡プロポーザル管理
システム(PMS)について」(小笠原、資料30-4)が紹介された。ハワイ・
三鷹それぞれにサーバを置き、データベースを共有する。
9.共同利用方針(資料30-12)
家委員長から、ハワイ観測所の原案についてのこれまでの議論をまとめた提
案(添付資料)が有り、詳細かつ活発な議論を行った。議論の結果、家提案と
異なる点は以下の通り。
*レフェリーは外国人を含めることを前提としない。(外国人レフェリーに
対する見返りの問題などから)
*プロポーザルは英語を正本とし、日本語訳の添付は自由とする。(日本語
を正本とすべきという強い主張もあった。光赤外UMの若手からも日本語とい
う意見もあった。しかし、すばるの国際化の必然性、現状でもすばるの運営は
バイリンガル、論文と同様に天文学での日常作業となるなどの意見から)
*外国へのオープンについては、「すばるはnational telescopeではあるが、一
定の時間を外国人研究者にもオープンする。日本人研究者との共同研究を奨励
する。」という表現にする。目安は共同利用観測時間の10%程度とする。
(日本人をPIとすべき、「保護政策」を明文化すべきという意見もあった。し
かし、日本人PIというのは制限として強すぎる、時間は制限するが一部公開
する方針を明記すべきという意見などから)
*日本人PIで外国人が含まれる提案は外国人枠とは数えない。
*分野については大枠を5つとするが、枠名等は再検討することとした。
各枠にどの分野、細目(キーワード)が入るのかの新提案を、林委員が専門委
員に早急に回覧することになった。
*望遠鏡時間配分は望遠鏡ドーム等のエンジニアリング時間を除いた分を、
ハワイ大学時間、観測所時間、装置時間、共同利用時間に分けることを確認した。
10.望遠鏡時間配分(資料30-13)
今後数年の望遠鏡時間を、試験観測期I&II、共同利用期I&II&IIIの5つにわ
け、時間配分の方針・大枠をまとめた試案が海部所長から出され(添付資料)、
これについて議論した。試験観測は試案では共同利用III期にまでずれ込んで
いたが、共同利用期II(2002.3まで)に終了させる。
観測装置グループの性能観測保証時間には天候の要因による安全率は見込ま
ないこととした。特定の装置が悪天候に見舞われた場合は観測所時間をバッフ
ァとして調整する。この方針に伴い、共同利用I-III期の試験観測・共同利用・
観測所時間の配分を海部試案より5%程度増やす方向とすることにした。観測
所時間の内容について説明・意見交換があった。UH時間の配分方針について
の説明があった。
11.プログラム小委員会
委員は次回の当委員会で決定する。
委員会の重要性に鑑み、光天連で参考投票をすることが提案された。
12.観測データ公開提案(資料30-14)
前回市川氏から提案のあったデータ公開方針に関する提案について濱部氏か
ら補足説明があった。公開開始時期について、原案は観測後一年だが、当委員
会では一年半が妥当という意見が多数であったので、今後の見直しを考慮して
当面一年半で考えることとした。特別な事情のある観測データの公開について
は申請時に公開延期の要望を記すものとし、プログラム小委員会が判断する方
向で検討することとした。 本提案に基づいて、ハワイ観測所が文章化を行う
こととした。
次回は2月後半の予定。改めて日程調査を行う。
以上