観測成果

すばる望遠鏡が解明、本当に 50 億光年の彼方からやってきていた謎の天体・高速電波バースト

2016年2月24日 (ハワイ現地時間)

  電波望遠鏡で夜空を観測していると、継続時間がわずか数ミリ秒という極めて短い「高速電波バースト (Fast Radio Burst、FRB)」という謎のフラッシュ現象が起きます。数年前に発見されたばかりで、観測された電波の特徴から、パルサーなどの銀河系内の既知天体ではなく、銀河系外、しかも 50~100 億光年という宇宙論的な遠距離からやってきていることが示唆されていました。しかし、直接的な距離測定はこれまで全く例がなく、実は天体現象などではなく地球大気における発光現象ではないかという主張すらありました。

  今回、東京大学や国立天文台などを含む国際研究チームは、オーストラリアのパークス電波天文台が発見した FRB に対してすばる望遠鏡で追観測を行い、FRB が発生した遠方の銀河を初めて突き止め、その距離が 50 億光年という遠距離であることを証明しました。これにより、FRB は本当に宇宙論的遠距離にある巨大な爆発現象であることが明らかになり、また、宇宙における通常物質 (バリオン) の大半が未検出だったという、宇宙論上の「ミッシングバリオン問題」が解決しました。

  今後、FRB の正体を明らかにし、また宇宙論研究に応用するため、さらなる研究の活発化が期待されます。


図1

図1: 左上パネル:パークス電波天文台が観測した全領域。(参考に、満月の大きさも示してある。) 白丸の中で FRB が発生すると検出できるが、白丸の中のどこかはわからない。今回の FRB は、水色の丸の中で発生した。
右側の3パネル:左上パネルの拡大図。右側の2,3列目のパネルには、すばる望遠鏡で取得したデータによる FRB 母銀河の画像が示されている。周辺の多くの星や銀河に比べて、色が赤いことがわかる (楕円銀河は、最も赤い部類の銀河)。下パネル:すばる望遠鏡で FRB 母銀河を分光してスペクトル (波長ごとの光にわけた強度分布) にしたもの。黒が観測データ、青い線が楕円銀河の標準的なスペクトルで、いくつかの元素の吸収線や全体的な形が良く一致している。これにより、赤方偏移が z=0.492 と決定された。



  この研究成果は、英国の科学雑誌『ネイチャー』2016年2月25日に掲載されました (Keane et al. 2016, "The host galaxy of a fast radio burst")。またこの研究成果は、科学研究費補助金 (15K05018) のサポートを受けています。


  詳しくは東京大学大学院理学系研究科のウェブサイトをご覧ください。





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