観測成果

偏光観測で見えた惑星材料物質の成長

2012年11月27日

  神戸大学、兵庫県立大学、国立天文台、埼玉大学の研究者がリードする国際研究チームは、すばる望遠鏡を用いた観測から、「おうし座 UX A 星」という恒星をとりまく原始惑星系円盤の姿を直接捉えました。また円盤中に、単純な球形ではない、比較的大きな塵粒子が含まれていることも明らかになりました。この塵粒子は衝突合体による惑星への成長過程にあると考えられ、惑星系の生い立ちを探る上で重要な観測結果となりそうです。


  「おうし座 UX A 星」は、たくさんの中小質量の恒星が生まれているおうし座分子雲にある若い恒星の一つです。「おうし座 UX A 星」の周囲には原始惑星系円盤 (恒星が生まれる過程でできるガスと塵の円盤) があることが知られています。また一般的に原始惑星系円盤の中では惑星が生まれ、成長すると考えられています。

  今回研究チームはすばる望遠鏡に搭載された観測装置 HiCIAO (ハイチャオ) を使って、「おうし座 UX A 星」の原始惑星系円盤を近赤外線で詳しく観測しました (注1)。特に円盤に含まれるわずかな塵の分布を調べるために、波としての光の性質を利用する偏光観測 (光の振動方向の偏りを測る観測) を行いました。塵の微粒子はゆくゆくは惑星になるかもしれないので、塵粒子表面で生じる近赤外線の反射の性質は、惑星の生い立ちを知る上で重要な手がかりを与えてくれるはずです。

  観測の結果、原始惑星系円盤が半径 120 天文単位まで広がっている様子を 0.1 秒角の空間分解能で捉えることに成功しました (図1左)。捉えられた円盤の (全体としての) 形が南北方向 (図1左では上下方向) にやや延びており、また西側が東側に比べてやや明るいことから、正面に対して東西方向 (図1左では左右方向) に (西側が私たちに対して近くなるように) 傾いた円盤を見ていると考えられます (図1右)。


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図1: (左) すばる望遠鏡による近赤外線偏光観測で捉えられた「おうし座 UX A 星」の原始惑星系円盤の姿。半径 120 天文単位まで広がっている原始惑星系円盤を 0.1 秒角の空間分解能で観測することに成功しました。(右) 「おうし座 UX A 星」の原始惑星系円盤の見え方の概念図。捉えられた円盤の (全体としての) 形が南北方向 (左図では上下方向) にやや延びており、また西側が東側に比べてやや明るいことから、正面に対して東西方向 (左図では左右方向) に (西側が私たちに対して近くなるように) 傾いた円盤を見ていると考えられます。(クレジット: 国立天文台)


  また、円盤からくる光が強い偏光を示していることも分かりました。偏光の向きの角度分布は中心星を中心とする同心円状になっており、偏光度 (偏光の強さ) は偏光角によって大きく変化しています。「今までは偏光の向きによらずに高い偏光度を示す天体が多く検出されました。しかしこの天体は、偏光の向きによって偏光度が2% 〜 66 % と大きく変化しています。この見慣れない観測結果の解釈に非常に苦労しました」と語るのは兵庫県立大学の伊藤洋一さんです。

  原始惑星系円盤中の塵はもともとは星間空間に存在していた非常に小さなもので、そのサイズは 0.1 マイクロメートル程度だったと考えられています。「おうし座 UX A 星」の円盤に見られる塵は、小さな塵の粒が頻繁に衝突・合体することにより、これほどの大きさまで成長してきたと考えることができます。即ち、私たちは惑星の材料である塵粒が惑星への成長する過程の第一歩を目の当たりにしているのかもしれません。


  この研究成果は、日本天文学会が発行する学術誌『欧文研究報告』に掲載される予定です (Tanii et al. "High-Resolution Near-Infrared Polarimetry of a Circumstellar Disk around UX Tau A", Publications of the Astronomical Society of Japan, in press)。


  またこの研究は、研究者が所属している機関それぞれの援助に加え、下記の援助を受けています。

  • 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究
  • 文部科学省 World Premier International Research Center Initiative
  • 日本学術振興会 科学研究費補助金 特別推進研究
  • 日本学術振興会とインド科学技術庁の協力プログラム
  • プリンストン大学のGlobal Collaborative Research Fund
  • NFS grant AST-1009203


(注1) この観測は、太陽系外惑星と円盤をすばる望遠鏡を用いて探査する SEEDS プロジェクトの一環として行われました。




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