すばる望遠鏡
銀河団 Cl0939+47 (Abell 851)

低解像度 (160 KB)
高解像度 (1.5MB)

【観測条件】
天 体 名:銀河団 Cl0939+47 (Abell 851)
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:CISCO (近赤外線カメラ)、Suprime-Cam (可視光広視野カメラ)
フィルター:Rバンド(赤), Jバンド(1.25 ミクロン), K'バンド(2.15 ミクロン)
カラー合成:青(Rバンド), 緑(Jバンド), 赤(K'バンド)の3色合成
観 測 日 時:世界時1999年1月13日(Rバンド), 1月14日(Jバンド), 1月12日(K' バンド)
露 出 時 間:3600秒(Rバンド), 2400秒(Jバンド), 2400 秒(K'バンド)
視   野:120秒角×145秒角
画像の向き:北が上、東が左
位   置:赤経(J2000.0)=9時43分、赤緯(J2000.0)=+46度59分 (おおぐま座)

【説 明】
銀河は一様に宇宙に分布しているわけではなく、数個から数千個でグループ や集団となって宇宙の大規模構造をなしている。この画像は、我々から約50億光年の距離 にあって、約200万光年の広がりをもつ銀河団である。この画像には、「星」はほとんど 写っていない。大小、多少いびつな光点が、みな私たちの銀河系と同程度の大きさの銀河 である。200万光年と言えば、ほぼ我々の銀河からアンドロメダ星雲までの距離に等しい が、それと同程度の大きさの空間に様々な種類と色を持つ銀河が集団となって存在してい るのである。一般的に、銀河団中には明るくて赤い楕円銀河が多数存在しているが、この 銀河団のように宇宙遠方にあると、近傍の銀河団中には見られないような青くて暗い銀河 も多数存在している。Suprime-CamとCISCOで撮影した画像を3色合成したこの画像では、 赤い銀河も青い銀河も多数存在していることが見て取れる。すばる望遠鏡によって高い感 度と角分解能で撮影されたこの画像は、これまでの地上望遠鏡ではかつて得られたことの なかったような情報に富むものである。

銀河団を研究することは銀河団の歴史を解明することと同時に、個々の銀河がどのよう に形成されて進化してきたかも理解しようとするものである。もし宇宙がその膨張を止め られるだけの十分な物質を含んでいるのなら、大多数の銀河団はごく最近になって作られ たことになる。一方、宇宙遠方に多数の古い銀河団が存在していれば、宇宙の重力は宇宙 膨張を止めるほど大きくないことを意味するであろう。

 


1999年1月28日
ヒクソン・コンパクト銀河群40

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高解像度 (555 KB)

【観測条件】
天 体 名:ヒクソン・コンパクト銀河群40
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:CISCO (近赤外線カメラ)
フィルター:Jバンド(1.25ミクロン)、K'バンド(2.15ミクロン)
カラー合成:青 (Jバンド)、緑 ([Jバンド+K'バンド]/2)、赤 (K'バンド)
観 測 日 時:世界時1999年1月14日(Jバンド)、1月12日(K'バンド)
露 出 時 間:480秒 (Jバンド)、480秒 (K'バンド)
視   野:1.9 分角×2.9分角
画   像の向き:北が上、東が左
位置:赤経(J2000.0)=9時36分24.1秒、赤緯(J2000.0)=-4 度37分39秒 (うみへび座)

【説 明】
銀河は宇宙の中で単独で存在することはむしろ珍しく、群れ集まる傾向がある。ふたつの銀河からなる系を連銀河、三つ以上数十個程度までの集団を銀河群、数十個以上の巨大集団を銀河団と呼ぶ。銀河群の中には、通常のものに比べて極端に小さな領域に数個の銀河がふれあわんばかりに密集している「コンパクト銀河群」と呼ばれる種類のものがある。

この画像に示されているのはうみへび座にあるコンパクト銀河群HCG40で、距離は約3億光年。ヒクソン(Hickson)によって作られたコンパクト銀河群のカタログの40番目にあることからこの名前で呼ばれる。画像で上から順に、渦巻き銀河、楕円銀河、二つの渦巻き銀河、レンズ状(S0)銀河の5個の主要メンバーが、互いにふれあわんばかりにはっきり見 えている。

コンパクト銀河群では、互いに近すぎる銀河どうしの遭遇が頻繁に起こる。実際、ここに見られる三つの渦巻き銀河すべてに、互いの重力でひきあうために生じる潮汐相互作用の痕跡が認められる。一番下のS0銀河の中心部も特異な様相を見せている。コンピュー タシミュレーションによると、コンパクト銀河群では、重力相互作用により、宇宙年齢に比べてはるかに短い時間で、メンバー銀河どうしが衝突合体し1-2個の大きな銀河ができ る。HCG40でもそのような進化の過程の1ショットが見えているのであろう。 画面で青白いふたつの点は、手前にある我々の銀河系の星。赤い小さなたくさんの斑点 のようなものは、すべて十から数十億光年遠方の銀河であり、宇宙膨張によるドップラー効果のために、HCG40の銀河よりも赤っぽく見えている。

 


1999年1月28日
木星と土星

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【観測条件】
天 体 名:木星と土星 
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点 
使用観測装置:CAC (カセグレン調整用カメラ) 
フィルター:Bバンド (青),Vバンド (緑),Rバンド (赤) 
カラー合成:青 (Bバンド)、緑 (Vバンド)、赤 (Rバンド)の3色合成
観 測 日 時:世界時1999年1月22日 
露   出:B,V,R各フィルターにつき0.1秒 (NDフィルタ使用)
      ただし土星のBバンドのみ0.5秒 
視   野:50秒角×50秒角

【説 明】
左:木 星 太陽系最大の惑星で、直径は地球の約11倍ある。赤道に平行な縞模様があり、 それが複雑な構造を持ち、時々刻々変化しているのがわかる。図の右下に見える 楕円形の模様が有名な大赤斑で地球の2倍程度の大きさを持っている。中央下の黒 点は第3衛星ガニメデで、暗く見えるのは木星に比べて反射能が低いことによる(影 は木星の左の外にそれていると考えられる)。青、緑、赤の画像は、それぞれ世 界時5時34分、5時39分、5時43分に取得。

右:土 星 太陽系第2の大きさの惑星で、直径は地球の約9倍ある。木星と同様に赤道に平 行な縞模様があるが構造はより単純である。有名な輪を持ち、その直径は本体の 2.26倍ある。輪は3重になっていて外側からA環、B環、C環と呼ばれている(C環 は淡いのでこの画像には現れていない)。A環とB環の間に、発見者にちなんでカ シニの空隙と呼ばれるすきまが見える。青、緑、赤の画像は、それぞれ世界時6時 22分、6時27分、6時34分に取得。

 


1999年1月28日
アンドロメダ星雲 M31 の一部

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高解像度 (688 KB)

【観測条件】
天 体 名:アンドロメダ星雲の一部
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:Suprime-Cam (可視光広視野カメラ)
フィルター:Rバンド (赤)
カラー合成:グレースケール
観 測 日 時:世界時1999年1月13日
露   出:900 秒
視   野:3分角×4分角
画像の向き:北が右上、東が左上
位   置:赤経(J2000.0)=0時40分33.51秒、赤緯(J2000.0)=+40度44分45秒 (アンドロメダ座)

【説 明】
アンドロメダ大星雲(メシエ31)は、約1,000億個の恒星からなる星の大集団で、我々の銀 河系と同じような渦巻き銀河。我々から約250万光年の距離にあり、銀河の「お隣さん」 と言える。アンドロメダ大星雲の見かけの大きさは角度にして3度近くあり、この画像は 渦巻きのごく一部分を赤いフィルターを通して撮影したもの(添付資料の白い四角の中に対応)。ぶつぶつ見えるものはすべてアンドロメダ大星雲の中にある星である。「星雲」 という名が示す通り、これらの星をひとつひとつ分離して見るのは地上望遠鏡では至難の 技であるが、すばる望遠鏡の高い解像力と感度によって、わずかな露出時間でこれだけ多 数の星が撮影できている。画像を左下から右上に横切っている明るい領域が、渦巻きの 「腕」の一部であり、そこには若い明るい星が多く輝いている。

この画像は、光検出素子が2048個×40 96個並んだ天文用大型CCDチップをさらに6枚並 べた、大型カメラSuprime-Ca mで撮ったもの。タテヨコの黒い線はCCDチップ間のすき間である。CCDの一部欠陥による黒いタテのすじも見える。実際には、望遠鏡を少しずつずらして同じ天域を何枚か撮り、重ね合わせてつぎ目のないきれいな画像にする。天文観測の舞台裏を少しお見せした。

 


1999年1月28日
セイファート銀河NGC4051

低解像度 (69 KB)
高解像度 (399 KB)

【観測条件】
天 体 名:セイファート銀河NGC4051
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:Suprime-Cam (可視光広視野カメラ)
フィルター:Rバンド ( 赤)
カラー合成:グレースケール
観 測 日 時:世界時1999年1月13日
露 出 時 間:2分
視   野:3分角×4分角
画像の向き:北が上、東が左
位   置:赤経(J2000.0)=12時3分9.6秒、赤緯(J2000.0)=+44度31分53秒 (おおぐま座)

【説 明】
NGC 4051は、おおぐま座にある渦巻き銀河で約3500万光年の距離にあ る。この銀河は、中心核が活発な活動を示すセイファートI型銀河として有名で、 天文学者セイファートが1943年に活動銀河の研究をはじめた最初の6個のうちのひ とつである。ただし、セイファートI型銀河の中ではもっとも活動度が低い部類に 属している。形態は、棒渦巻型銀河と渦巻き型銀河の中間タイプ。この銀河の円 盤面は我々に対して約40度傾いているが、三本のはっきりした渦巻き腕が中心部 の棒状構造の先端から出て、美しい渦巻き構造を作っている。すばるで撮ったこ の画像では、生まれて間もない星々が作る高温の水素ガス雲が、渦巻き腕に沿っ て多数見えており、すばるの高い空間分解能がいかんなく発揮されている。

画像に見える細い筋や縞は、Suprime-CamのCCD素子のすき間によるもの。銀河 の中心には活動的で明るい恒星状の中心核があるが、すばる望遠鏡の高感度のた め露出が飽和してまわりの星の光に埋もれ、この画像では見えていない。

 


1999年1月28日
オリオン星雲

低解像度 (98 KB)
高解像度 (401 KB)

【観測条件】
天 体 名:オリオン星雲
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:CISCO (近赤外線カメラ)
フィルター:Jバンド(1.25ミクロン)、K'バンド(2.15ミクロン)、
       2.12ミクロン狭帯域フィルタ(水素分子線用)
カラー合成:青 (Jバンド)、緑 (K'バンド)、赤 (2.12ミクロン狭帯域フィルタ)
観 測 日 時:世界時1999年 1月14日(Jバンド)、1月12日(K'バンド)
       1月14日(2.12ミクロン狭帯域フィルタ)
露 出 時 間:Jバンド 68秒、K'バンド 338秒、2.12ミクロン狭帯域フィルタ 30秒
視   野:4.1分角×4.8分角(3×3のモザイク)
画像の向き:北が上、東が左
位   置:赤経(J2000.0)=5時35分15秒、赤緯(J2000.0)=-5度23分29秒 (オリオン座)

【説 明】
我々から1500光年の距離にあるオリオン星雲の中心部を近赤外線で観測した もの。画像のほぼ中心に4個の明るい星からなるトラペジウム(不等辺四角形)が見え、そ の周囲に多くの星が見えている。これらの星の大部分は、星雲の背後にあるオリオン分子 雲中に埋もれた生まれて間もない小質量の星で、赤外線でしか見えない。視野全体にわたっ て青く淡く輝いているのは、トラペジウムが放つ強力な紫外線によって高温に電離された ガス。画像の左下には電離波面オリオン・ブライト・バーが見られる。

トラペジウムの上方やや右寄りに、蝶々が羽を広げたような赤い星雲が見られる。これ は、オリオン分子雲に深く埋もれているために赤外線でしか見えないクラインマン・ロー (KL)星雲とその周囲の領域である。その中心部、蝶々の胴体のあたりには太陽の30倍の重 さをもつ原始星IRc2があるが、これは近赤外線でも見えていない。この大きな若い星の激 しい活動が、巨大な「蝶々」を作り出したと考えられる。

この画像は、波長1.25ミクロン、2.15ミクロン、および波長2.12ミクロンの水素分子の出 す輝線で撮影した3枚の画像にそれぞれ青、緑、赤の各色を割り当て、疑似カラーで表示 したもの。CISCOが1回の露出で観測できる視野は2分角しかないので、望遠鏡を縦横に動 かして露出を繰り返し、最終的に9枚の画像をつなぎ合わせた。トラペジウムが明るすぎ るため、一部にゴーストが見られる。

 


1999年1月28日
オリオンKL領域

低解像度 (174 KB)
高解像度 (940 KB)

【観測条件】
天 体 名:オリオンKL領域(オリオン座)
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:CISCO (近赤外線カメラ)
フィルター:2.12ミクロン狭帯域フィルタ(水素分子線用)- N204フィルタ(連続光)
カラー合成:グレースケール(赤)
観 測 日 時:世界時1999年1月14日
露 出 時 間:30 秒
視   野:2分角×2分角
画像の向き:北が上、東が左

【説 明】
我々から1500光年の距離にあるオリオン雲内のクラインマン・ロー(K L)星雲付近の領域を拡大した画像。絶対温度2000Kの水素分子が出す輝線(波長2.12ミクロンの近赤外線)で撮影した。これは、すばる望遠鏡がその高い解像力と水素分子輝線の組み合わせで初めてとらえた約1光年のサイズ(太陽系の数百倍)にわたる宇宙の大スペクタクルである。巨大な蝶々が羽を広げたような形をしており、その胴体に相当する部分に太陽の30倍の重さをもつ原始星IRc2があるが、これは近赤外線でも見えていない。IRc2からの秒速100キロメートルを越す強い星風によって星雲に蝶々型の大きな空洞が空けられ、そこ から漏れ出した赤外線が見えているのである。クラインマン・ロー星雲領域から外に向かって放射状に伸びる突起のような構造が無数に出ているのが分かる。これは「フィンガー」 と呼ばれる構造で、IRc2からの強い星風が周囲のオリオン分子雲のガスと衝突して絶対温度2000Kの衝撃波を作り、それが光って見えているものと考えられている。 図中に見える縦横の縞模様や細かいモアレパターンは、画像をつなぎ合わせるときに生じたもので実際の構造ではない。また白黒の小さな点は星で、画像処理のプロセスで生じたもの。

 


1999年1月28日
重力レンズ天体 PG1115+080

低解像度 (94 KB)
高解像度 (411 KB)

【観測条件】
天 体 名:重力レンズ天体 PG1115+080 (しし座)
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:CISCO (近赤外線カメラ)、Suprime-Cam (可視光広視野カメラ)
フィルター:Rバンド ((赤)、Jバンド(1.25 ミクロン)、K'バンド(2.15 ミクロン)
カラー合成:青(Rバンド)、緑(Jバンド)、赤(K' バンド)の3色合成
観 測 日 時:世界時1999年1月13日(Rバンド)、1月14日(Jバンド)
   1月12日(K'バンド)
露 出 時 間:420 秒(Rバンド)、35 秒(Jバンド)、275秒(K'バンド)
視   野:4.7秒角×5秒角
画像の向き:北が上、東が左

【説 明】
アインシュタインの一般相対性理論によると、重力の作用によって光線も曲げられる。遠方 の天体と我々との間に銀河や銀河団があると、その重力によって遠方の天体の光が曲げられ て我々に届くという「重力レンズ」の例が多く観測されている。この画像はそのような重力 レンズ天体のひとつであり、約100億光年かなたにあるクエーサーが、約30億光年の距離に ある銀河のちょうど真後ろに位置している。このように並び方が良いと、中間の銀河の重力 によってその周囲の空間が曲げられているために、それがまるでレンズのように作用して、 後方にあるクエーサーからの光線が曲げられて我々に届くことになり、同じクエーサーがい くつにも分裂して見えることになる。左のパネルは可視光と赤外線の画像を合成したもので、 レンズとして働いているのが中心にある赤っぽい銀河であり、その周囲に重力レンズ効果で 分裂した4個のクエーサー像が見える。すばる望遠鏡の高分解能(この画像では0.33秒角)に よって、4個に分かれたクエーサー像がきれいに分離できている。右のパネルは広がった淡 い光を強調したもので、淡い光はリング状に分布している。並び方によっては、重力レンズ 効果によってこのようなリングも観測される。重力レンズによって結像した像の位置や強度 から、宇宙膨張の速度を決めたり、宇宙が今後永久に膨張を続けるのか、あるいは膨張速度 が遅くなって収縮に転じるのかどうかを研究することができる。

 


1999年1月28日
最も遠いクエーサー(赤方偏移5)

低解像度 (186 KB)
高解像度 (1.7MB)

【観測条件】
天 体 名:最も遠いクエーサー(赤方偏移5)(おうし座)
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:CISCO (近赤外線カメラ)
フィルター:Jバンド(1.25 ミクロン), K'バンド(2.15 ミクロン)
カラー合成:青(Jバンド), 緑([Jバンド+K' バンド]/2), 赤(K'バンド)
観 測 日 時:世界時1999年1月14日
露 出 時 間:800 秒(J), 1600 秒(K')
視   野:110秒角 × 1101秒角
画像の向き:北が上、東が左

【説 明】
クエーサーは宇宙で最も大きなエネルギーを放っている天体であり、その正体は遠方の銀河の中心にある巨大なブラックホールだと考えられている。そうした巨大ブラックホールは太陽系程度の大きさを持つが、その中に太陽の10億倍もの質量が入っているはずである。クエーサーは非常に明るいために、遠方にあっても比較的観測しやすい。この画像にあるクエーサーはスローン・デジタル・スカイ・サーベイによって発見されたもので、現時点で知られている範囲では宇宙の最も遠くにある。我々からの距離は、ビッグバンを今から150億年前とした場合、約140億光年である。現在発見されている天体で、このクエーサーと同じくらい遠方にあるもの(銀河)は数個しかない。このような天体はビッグバン後10億年程度の時点のものであり、現在の宇宙の年齢と比較すると非常に若い天体であることが分かる。宇宙膨張のために、遠くの天体は我々から非常に速く遠ざかっているように観測される。そのためのドップラー効果によって、この天体がもともと放った光の波長が6倍長くなって我々に観測される。このクエーサーは近赤外線カメラCISCOで撮影したものだが、実際にはクエーサーから放射された紫外線を見ていることになる。

クエーサーのような天体がビッグバン後比較的早い時期にできるためには、もともと宇宙のなかで密度の特に濃い場所にこれらの天体が存在していたからではないかと考えられている。もしそうなら、遠方のクエーサーのまわりでは銀河が形成されつつある可能性もある。そのような原始銀河を検出するには、すばる望遠鏡のような高性能の大型望遠鏡が必要である。この画像の中に見られる暗くて赤い点はみな銀河だが、クエーサー自身に比較してはるかに我々に近い距離にある。

 


1999年1月28日
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